こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

本と映画

においが眠るまで

匂いに敏感な17歳のひのき、亡くなった父の匂いを探す旅に出る・・・という映画を観ました。 www.palomapro.com 父親はコーヒー豆焙煎店を営んでいて、全国のミニシアターをコーヒー豆を行商しながら巡っていた。その時に観た映画の感想が書かれたノートを手…

幸田文・きものと朝ドラ

幸田文『きもの』を読了。 『引き千切られた片袖がまんなかに置かれ、祖母と母とるつ子が三角形にすわっていた。るつ子が叱られているのだった』 こんな風に物語は始まる。 るつ子はあくまできものの着心地にこだわる利かん気の強い少女。 気に入らない肌触…

PERFECT DAYS

遅ればせながら『PERFECT DAYS』を鑑賞。 小さいシアターで一日一回の上映になってしまっていて、まあまあ混んでいました。 じわじわとクチコミで観る人が増えていく、そんな映画じゃないかなぁと思います。 ぜひおすすめしたい。 詳しいストーリーはサイト…

大奥づとめ

『大奥づとめ』を読了。 大奥といえば上様の寵愛こそすべて。大奥での出世とは上様の御目に留まり、御手付きになり、いずれは子を産んで側室となること。 フジテレビのドラマ『大奥』はそのドロドロの世界を描いておりますが(わたしはNHKの男女逆転の『大奥…

バカ塗りの娘とジャパン・ディグニティ

少し前になりますが『バカ塗りの娘』を観ました。 happinet-phantom.com バカみたいに何度も塗っては研いでを繰り返す津軽塗、通称バカ塗り。 それを生業とする父娘の物語だから『バカ塗りの娘』 タイトルにインパクトがあってすごく良いと思った。 この映画…

小津安二郎の審美眼

またもや終了間際の駆け込みになってしまいましたが自転車飛ばして観に行きました。 www.chigasaki-museum.jp 小津安二郎生誕120年ということで今年は各地で関連のイベントや展示、上映があるみたいです。 実はわたくし、小津安二郎作品を一度も観たことがな…

夜中の薔薇

先日のキャンプの夜に読んでいたのがこれ。 向田邦子氏の最後のエッセイ集『夜中の薔薇 』 文字が大きくなった新装版である。 まあまあ長いエッセイも含まれるがエッと思うくらい短いものもあって、感心させられた。 短い文章でまとめるのって非常に難しいと…

7月24日通り

少し前に吉田修一『7月24日通り』を読む。 7月24日通り (新潮文庫) 作者:修一, 吉田 新潮社 Amazon 裏表紙に『地味で目立たぬOL本田白百合は海が見える自分の町をリスボンに見立てるのがひそかな愉しみ。異国気分で「7月24日通り」をバス通勤し、退屈な毎日…

牧野富太郎と、山

読み終えないうちに返却日が来てしまい、慌てて流し読み。 ヤマケイ文庫 牧野富太郎と、山 作者:牧野 富太郎 山と溪谷社 Amazon 牧野氏のエッセイを集めたものなのでどこから読んでもOK。 好きな山、良く知っている山のところだけ摘まんで読んでみた。 冒頭…

牧野富太郎の恋

朝ドラ『らんまん』が好き過ぎて。 読んでみました。 牧野富太郎の恋 (朝日文庫) 作者:長尾 剛 朝日新聞出版 Amazon ドラマの原作なのかと思ったらそうではなかった。(ドラマには原作はないそうです。史実をもとにしたオリジナル脚本) タイトルは「牧野富…

丘の上の本屋さん

雨なので少し前に観た映画のことなど。 ハートウォーミングなストーリーが好きです。 mimosafilms.com リベロの営む丘の上の古書店。隣りはカフェで店員のニコラは何かとリベロを気にかけ出入りする。他にも近所の風変わりな人々が出たり入ったり。 ある日、…

美しい本ー湯川書房の書物と版画

映画にしろ展覧会にしろ、いつも会期ギリギリか終了後のお知らせになってしまうので今度こそ余裕を持って! 行ってまいりました。 www.moma.pref.kanagawa.jp 4月16日まで開催中。 湯川書房とは湯川成一(1937~2008)によって設立された作品選定から装幀、造本…

ひみつのなっちゃん

映画の話題を連投です! himitsuno-nacchan.com 以前、『珈琲いかがでしょう』というドラマでスナックのママ役で出演していた滝藤賢一さん。そのときの役のはまり方が素晴らしくて。女装ではなく、女性になりきっていた。 しかも美しい。 なのでこの映画の予…

土を喰らう十二ヶ月

気になっていた映画、ようやく鑑賞できました。 tsuchiwokurau12.jp エンドロールに「水上勉」の名が流れて初めて、だからツトムさんだったのかと気づきました。この映画の"原案"が水上勉氏のエッセイ『土を喰う日々』なのでした。 映画を観たあとすぐにエッ…

ハリスおばさん♪

昨年、どこかの映画館で予告を観て、これは!?もしかして!?あの??ハリスおばさん??と思わず身を乗り出してしまいそうになった 『ミセス・ハリス パリへ行く』 を観てきました。 ハリスおばさんと言えば、子供の頃にはまったポール・ギャリコのシリー…

新年早々、泣いた泣いた

お正月に読んだ本。 あきない世傳 金と銀(十三) 大海篇 (ハルキ文庫 た 19-28) いよいよ完結編。 今回も火事に見舞われたり、奈落の底へ突き落とされたりの波瀾万丈。 それを乗り越え「買うての幸い、売っての幸せ」を追求しつづける五鈴屋の面々の潔い様子…

すずめの戸締まり&かもめ食堂

映画の日、『すずめの戸締まり』へ。 suzume-tojimari-movie.jp 公式サイトだけ見ていたので公式サイトによる情報のみで鑑賞。 そしたら、観てみてびっくりの内容でした。知らなかった・・・・ 災いの元となる"扉”を閉めていく少女すずめの物語。 閉じ師であ…

PLAN 75

観にいかなければ良かった・・・と思ってしまった映画でした。 happinet-phantom.com 今よりさらに少子高齢化が進んだ将来の日本。75歳から生死の選択権を与える制度『PLAN 75』が国会で可決される。 年齢による命の線引きがされるのだ。 フィクションだけど…

メタモルフォーゼの縁側

少し前に『メタモルフォーゼの縁側』を観ました。 metamor-movie.jp 予備知識全くなしで、なんとなく映画館のサイトをみていたらかかっていたので観に行った次第。 書店でバイトする17歳のうらら(芦田愛菜ちゃん)と一人暮らしの雪(宮本信子さん)75歳をつ…

大河への道

『道に迷ったら、この映画』というキャッチコピーが気になって、観に行きたかったけれどなかなか行けず近くの劇場では上映終了。諦めていたら、まだ上映中のところがあったので急ぎ観にゆきました。 movies.shochiku.co.jp トップガンより面白かったです!原…

江戸時代の図鑑

お友だちのSNSで発売を知り、すぐさま郵便局に直行!! 江戸時代の図譜「禽鏡(きんきょう)」がこの度、切手になりました。 描かれているのは、オオルリ、アカショウビン、カワセミ、ブンチョウ、アカゲラ、マクジャク、オオコノハズク、コバタン、チャボ、…

金継ぎの家

『金継ぎの家』読了。 たまたま見かけて手に取った。おそらくタイトルが気になったのだと思う。 はじめて知る作家さんだった。わたしと同世代のほしおさなえさん。 器の修復の仕事をする千絵と、その孫の真緒の物語。 千絵の子ども時代の記憶をたどり、金継…

きのう何食べた?

コロナ禍でしたが今年もいくつかの映画を観ました。 その中のベスト1は『きのう何食べた?』です!(『ドライブ・マイ・カー』が2位) kinounanitabeta-movie.jp ドラマ版で大好きになった。 でも劇場版は観なくてもいいかなとは思っていた。けれど観に行っ…

その後の『あきない世傳 金と銀』とサンダル

九巻までを読了。 五巻目まで読んだ時の感想がこちら↓でした。kobitoku.hatenablog.com その後もおもしろすぎです。 五巻目以降の五鈴屋も様々なピンチを乗り越え、商いを広げていっています。 ついに大阪から江戸に進出。 江戸の人たちは渋好み。大阪とは嗜…

道しるべに会いに行く

駿河小山駅を午前8時スタート‍♀️‍♀️ ちょっとお久しぶりの富士箱根トレイルです。 富士箱根トレイルと言えば岩田さんの道標。こびとく日誌でも何度か登場しています。 kobitoku.hatenablog.com 初めて見たのは2013年5月でそのときは『ちょっと多すぎるのでは…

『あきない世傳 金と銀』とサンダル

おもしろいよーと勧められたので読み始めました。 あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫) 作者:髙田郁 発売日: 2016/02/12 メディア: 文庫 ほんとにつるつる読めて、今五巻目を読み終えたところ。 あきない世傳 金と銀(五) 転流篇 (時代小説文庫) 作者:…

『HAPPY OLD YEAR 』とサンダル

少し前に観たタイ映画の『ハッピー・オールドイヤー』がなかなか良かったです。 ザックリひとことで言うと断捨離のお話。 留学先のスウェーデンでミニマルなライフスタイルを学んで帰国したデザイナーのジーンは母と兄と三人で暮らす自宅をリフォームしてデ…

みをつくし料理帖 特別巻

花だより みをつくし料理帖 特別巻を読む。 みをつくし料理帖シリーズは2014年8月に第10巻が刊行され完結。 それから4年後に満を持して書かれたその後の登場人物たち。 作者によるとこれで本当に最後だそうです。(もっと続きが読みたい!) これまでの10巻…

フェアウェル

シネコヤさんにて。farewell-movie.com アメリカで暮らすビリーは中国にいる大好きなおばあちゃん"ナイナイ"が余命3ヶ月と知って会いに行く。親戚一同はビリーの従兄弟の結婚式をでっち上げ、それを口実にナイナイのもとに集まる。だけどナイナイ自身には病…

翻訳できない世界のことば

ふと手にとってパラパラめくった一冊をご紹介します。 エラ・フランシス・サンダースさんの『翻訳できない世界のことば』 原題は『LOST IN TRANSLATION』 いろいろな国のその国ならでは言い回し、まさしく翻訳できないことば。 でも翻訳しなくてもなんかわか…