九巻までを読了。
五巻目まで読んだ時の感想がこちら↓でした。
kobitoku.hatenablog.com
その後もおもしろすぎです。
五巻目以降の五鈴屋も様々なピンチを乗り越え、商いを広げていっています。
ついに大阪から江戸に進出。
江戸の人たちは渋好み。大阪とは嗜好が違うのは『みをつくし料理帖』と重なります。
五鈴屋江戸店は田原町にあり、浅草界隈の描写が多いです。
わたしが東京の中で唯一土地勘のあるのがこの浅草界隈(靴材料、問屋さんが多い)なので、知っている地名が出てくると嬉しいし、江戸の風景を想像しやすい。
五鈴屋の新しい商品開発で伊勢木綿や伊勢型紙も登場しますが、これも手持ちのsousouの手ぬぐいで良さがわかるので、うんうんうなづきながら読み進めます。
ほんとに使うほどに柔らかくなっていくんですよね。
武士のものであった小紋染めを町人のものにしようと創意工夫する幸たち。
職人さんたちの心意気にもグッときます。
とにかく『買うての幸い、売っての幸せ』
これが全編を通して貫かれているのが清々しい。
逆境に知恵を絞って立ち向かう幸を見ていると自分もどうにかしなくてはと思う。
もう少し何かできるのではないか?
こびとくサンダルも、履く人にとってもっと嬉しいものになるのではないかと、幸が考え込むときの握り拳を額に当てるポーズを真似してみたり。(何も浮かばなかった・・)
八巻で江戸の町は麻疹禍に襲われます。
コロナ禍がなければこれを「ましんか」と正しくは読めなかったでしょう。
麻疹(はしか)の流行。
考えてみればこれまでも病の流行はあったわけで先人はそれらを乗り越えてきたのでした。
江戸の麻疹禍では多くの人が亡くなり、そのときは呉服も売れなくなります。
そんな華やいだ気持ちになれないというのがその理由。
あまりに今のコロナ禍と重なるので巻末を見たら2020年9月18日第一刷発行とありました。
続きを早く読みたいと思って第10巻を図書館に予約しようとしたら67人待ち。
これは購入するしかありませんね。
10巻で終わりなのかと思ったら、まだ続くようです。
このシリーズを読むと手仕事がんばろって心底思えるのでずっと続いて欲しいです。
オーダー分のサンダル制作も続いています。
なんとか梅雨明けまでにお渡しできるように。
ミスも多くてやり直しの嵐で全然前に進まなくて落ち込むことも多いですが、この本読んで立ち直りました。
追記・自分のためにメモ
「衰颯的景象
就在盛満中
発生的機緘
即在零落内」(菜根譚)
どん底のときにはすでに希望が中にある、みたいなこと。
なんかちょっと100マイルレースみたい。
『衰える兆しは最も盛んなときに生まれ、新たな盛運の芽生えは何もかも失った時、既に在る』