こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

夜中の薔薇

先日のキャンプの夜に読んでいたのがこれ。

新装版 夜中の薔薇 (講談社文庫)

向田邦子氏の最後のエッセイ集『夜中の薔薇 』

文字が大きくなった新装版である。

 

まあまあ長いエッセイも含まれるがエッと思うくらい短いものもあって、感心させられた。

短い文章でまとめるのって非常に難しいと思うから。

わたしもブログをピシッと短くまとめたい。

そのためにも良い文章を読まねば。

この本の中のいいなぁと思うフレーズを書き留める。

 

『心にしみ通る幸福』

読書は開く前も読んでいる最中もいい気持ちだが、私は読んでいる途中、あるいは読み終えてからばんやりするのが好きだ。砂地に水がしみ通るように体のなかに何かがひろがっていくようで、「幸福」とはこれをいうのかと思うことがある。

キャンプ中の読書はまさにこんな感じ!

 

呑むこと、食べることが大好きな向田さんなのでお料理に関する記述も多い。

自宅に人を呼んで手料理でもてなすときの定番のメニューはどれも素材を生かした簡単なものばかり。

  • わかめの油いため
  • 豚鍋(ほうれん草、豚の薄切り、酒、ニンニク、しょうがの鍋でレモン醤油で肉を食べてからほうれん草を入れるのが向田流)
  • トマトの青じそサラダ (切ったトマト+青じそ千切り+ごま油、酢、醤油)
  • 海苔吸い

とにかく食べ物に関する文章が多いのであるが、

こういう熱の半分でもいい。

エネルギーを仕事のほうに使ったらもう少しマシなものを書けるかもしれないと思うのだが、まず気に入ったものをつくり、食べ、それから遊び、それからおもしろい本を読み、残った時間をやりくりして仕事する人間なのだ。

とあり、心より共感した次第。

 

もうずいぶん前だが、向田さんの妹さんが切り盛りしていた小料理屋『ままや』に連れて行ってもらった時のことなども思い出す。

 

気に入ったものをつくり、食べ、それから遊んで(走って)、おもしろい本を読み、残った時間をやりくりして仕事をしよう。

それでいいのだ。