お正月に読んだ本。
あきない世傳 金と銀(十三) 大海篇 (ハルキ文庫 た 19-28)
いよいよ完結編。
今回も火事に見舞われたり、奈落の底へ突き落とされたりの波瀾万丈。
それを乗り越え「買うての幸い、売っての幸せ」を追求しつづける五鈴屋の面々の潔い様子に心が洗われます。
新しい商品を売るための工夫も素晴らしく、なんか現代のヒントになりそう。
歌舞伎の人気役者吉之丞専用の王子茶を生み出すところも最高でした。
菊栄の考案した笄(こうがい)もヒット間違いなし。
商店街を宣伝するために双六を使うのもなるほどーと感心するばかり。(これらは史実に基づいたエピソードなんでしょうね)
吉原での衣装比べもわくわくしました。
そして何より賢輔の幸への純愛。
父治兵衛の「おあしにはな、金と銀と銭がある。ー中略ー。賢輔は銀になり、どないなことがあったかて金の傍を離れず、命がけで金を生かす努力をせぇ」という言葉をずっと胸に抱き、幸にこう言う。「せやさかい、私は何があったかて、ご寮さんのお傍を離れしません。生涯をかけて、金を生かす銀となります」
✨✨✨💕💕💕
ラスト1ページを読み終え、お竹と一緒にわたしもツツーッと涙。涙。
ま、どの巻もワンパターンといえばそうなんだけど。
もれなく感動させられました。
そして巻末の作者からのお知らせに少し先に特別巻を二冊刊行予定とあり!(嬉)
またモデルとなったのが「いとう呉服店」(のちの松坂屋)十代目店主の宇多という女性だと明かされてもいます。
もしかして大河ドラマにならないかなぁ。。
ところで、元旦に放送されていたブラタモリの新春スペシャルで江の島が取り上げられていました。
江戸時代、江の島を宣伝するために唐人囃子で吉原を訪問したとか。
持ち運べるミニ弁財天を携えて営業。
江戸の人たちは「粋」なことが好き。こぞって江ノ島詣に訪れたことでしょう。
この番組が「あきない世伝 金と銀」の世界とピタリとはまってより一層、江戸時代脳になった今年のお正月。
吉原遊廓と江ノ島の関係はこちらのブログに詳しいです↓
番組内でも出てきた青銅鳥居をさっそく朝ランで見に行く。
幾度となく、くぐっている鳥居ですが
小説の中の衣装比べで出てきた扇屋や松葉屋の名が!
扇屋の花魁ではなく芸者歌扇の衣装を担当した五鈴屋。
他の花魁が絢爛豪華な衣装を尽くす中、歌扇は漆黒の縮緬の小袖に扇の紋、銀鼠の帯、芸者の心意気を形にした装束は江戸っ子の「粋」そのものだったというくだりを思い出しジーンときた。
新年早々、独りよがりなブログになっていますが今年も好きなこと、書きたいことだけ綴ります。
本年もこびとく日誌をよろしくお願いします。