こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

牧野富太郎と、山

読み終えないうちに返却日が来てしまい、慌てて流し読み。

牧野氏のエッセイを集めたものなのでどこから読んでもOK。

好きな山、良く知っている山のところだけ摘まんで読んでみた。

冒頭いきなり『植物と心中する男』というタイトル。

私は植物の愛人としてこの世に生まれた来たように感じます。あるいは草木の精かも知れんと疑います。ハハハハ。

植物を好きになったのに理由はないそう。

ここで一句。

朝な夕なに草木を友にすればさびしいひまない

 

おもしろかったのは牧野氏の願望の項。

噴火で宝永山ができたことが残念なようで、富士山の容姿を元通りに良くしたいらしい。

宝永山をもと通りのその窪みの穴にかき入れたら宜しいと言っている。

さらに次の希望は一つの山を縦割りにすること。

なるべく小さい孤立した山を選びたいとのことでそれには伊豆の小室山がもってこいと。(休火山でもあるし)

縦割りにしてみれば、火山学、岩石学、地質学の研究材料になると。

さらに次の希望は"もう一度大地震にあいたい"とww

関東大震災が起こったそのとき牧野氏は自宅の八畳間の中央で猿股ひとつで植物の標本を見ていたそうで、チョット庭に出たら終わってしまったのであっけなかったという。

『揺れ方をしかと覚えていなければならんはずなのにそれを左程覚えていないのが残念でたまらない』

『富士山がどうか一つ大爆発をやってくれないか期待している』

『山下の民に被害のない程度で大爆発をやってくれぬかと密かに希望し、さくや姫にも祈願している』

富太郎さんの茶目っ気がかわいい〜💕

ドラマの万ちゃんと重なります。

 

『狐のヘダマ』というタイトルのエッセイの中に実家の岸屋(ドラマでは峰屋)に草やキノコに詳しい下女がいて、牧野氏はたびたびへこまされたとあります。

あるとき牧野氏が採集した名の知れぬ水草を水に浮かしていたら、「その草、ヒルムシロとかわりませんね」と下女に言われたそう。この物知りの下女のエピソードはドラマでは長屋のおゆうさんで再現されていましたね。

 

この本の解説は梨木果歩さん。

全くふさわしい人選で。

ちゃんと買って読もうと思いました。