こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

幸田文・きものと朝ドラ

幸田文『きもの』を読了。

きもの(新潮文庫)

『引き千切られた片袖がまんなかに置かれ、祖母と母とるつ子が三角形にすわっていた。るつ子が叱られているのだった』

こんな風に物語は始まる。

るつ子はあくまできものの着心地にこだわる利かん気の強い少女。

気に入らない肌触りのきものは袖を引き千切ってしまう。

るつ子は兄、二人の姉の四人兄妹の末っ子。戦争のときうまれた子だから、気がきつくて困るとなにかにつけて言われる。それがまたるつ子の癇にさわる。

そんなるつ子の半生が描かれた小説で、筆者の自伝的小説とも言われているようだ。

るつ子は明治の終わりの生まれだから、うちの祖母より少し上の世代。

大正時代の東京の下町の様子がよくわかる小説である。

とにかく文章がうまい。きもの生地のいろんなものが出てくるのがときめくが、着物に興味なくとも楽しめる。

二人の姉はさっさと嫁いでいってしまうが、その後、母が病に伏せることになり、おばあさんとるつ子は看病に明け暮れる。

その母もあっけなく亡くなってしまい、そうこうするうちに関東大震災が発生。

おばあさんの知恵とるつ子の行動力で乗り切るが、こうした経験でるつ子は大人になっていく。

こんな風にあらすじを書くとありきたりな感じがしてしまうけど、まあ、とにかく読んでみてくださいな。とーってもおすすめです。るつ子の心情が手に取るようにわかる文章力、すばらしいです。

 

他とは違う感性のるつ子でなかなか縁談もまとまらないのではあるが、この小説の最後は結婚してしまう。

 

以下はネタばれです。

父親もおばあさんも反対しているけど融通のきかないるつ子だからということで諦めて結婚を許す。(わたしもその人はやめておけ、と思った)

そして新婚初夜のシーンで物語は終了。

起承転結してないです!

 

史実の幸田文氏は昭和3年に結婚し、10年後に離婚されたそう。

で、この4月から始まった朝ドラ『虎に翼』昭和6年が舞台でのスタート。

こちらこそ、うちの祖母のドンピシャ世代か?!

女学校在学中に結婚相手を決めるのが夢❣️とかいう時代。

"既婚女性は無能力者"という明治民法に驚きましたね。

それ以前(江戸時代とか)の方が女性は生きやすかったの?と思うくらいの息苦しさ。

 

るつ子や虎ちゃんを全力で応援したいと思います!!