『金継ぎの家』読了。
たまたま見かけて手に取った。おそらくタイトルが気になったのだと思う。
はじめて知る作家さんだった。わたしと同世代のほしおさなえさん。
器の修復の仕事をする千絵と、その孫の真緒の物語。
千絵の子ども時代の記憶をたどり、金継ぎから漆工芸、漆掻きと漆をめぐる旅をしていきます。
飛騨高山や常陸大子、それに真緒の母が働く金沢も少し登場。
タイトルに『金継ぎ』とあるけれど金を使うとは限らず、祖母千枝さんは漆を使って器を修繕することを請け負っている。進路に悩む高校生の孫の真緒はそれを手伝うようになる。
その様子を読むのが楽しかった。
石川県出身のわたしにとっては漆と言えば輪島塗や山中漆器なのだが、飛騨高山の春慶という木目が透ける美しい漆器が何度も登場する。その他にも様々なタイプの漆器があることも知る。今いちど、漆器というものに注目したくなった。漆器をめぐる旅なんていいだろうなぁ。
時間をかけて作られたものは修繕にもまた時間がかかる。
使い捨てと世の中のスピードについていけなくなったような人にこの本をおすすめしたい。
ほしおさんの他の作品も読んでみたくなりました。
坂好きなランナーさんにはこんなのはいかがでしょうか?
また金継ぎもしてみたいな。