こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

ハセツネ32K完走レポ・その3

とにかく通過するのが難しいと思っていた第三関門を30分もの余裕を残して通過できたという不思議。
ほんとにここまで必死だったのだと思う。あのとき第三関門であんなに感涙してたのはわたしぐらい。皆さん冷静に次々とゴールを目指して再びトレイルに吸い込まれていった。
そうだ、まだレースは終わっていない。気を引き締め、わたしもあとに続く。
と、そのとき見覚えのある女性ランナーと合流。「あっ、去年、トイレで一緒に並んでましたよね?」と声をかけてみると「うん、私も見た顔だな〜と思った。覚えてるよ。」と応えてくださった。
昨年は彼女と第二関門のトイレ渋滞で前後して並んでいたのだった。そのあとしばらくおしゃべりしながら並走し、でも下りの得意な彼女は途中からは先行し見えなくなった。今回もしばらくおしゃべりしながら走る。わたしが前で彼女が後ろ。
超えられないと思っていた第三関門を突破できたことでちょっぴりハイテンションになってたわたし。饒舌になっている・・・。しかもおしゃべりしながらなのにハイペース。ゴールまでは下り基調になってくる。しゃべりながらだと舌をかみそうな長い下り。
きゃー、きゃー、コワイ、コワイと叫びながら下る。
とここで気付く。ダメだ。わたし足終わってる・・・。このペースじゃゴールまで持たない。
「先行って下さい。わたし、ダメだ。終わってる。ゆっくり行きます。」と彼女に道を譲った。すると彼女はあっという間に下ってゆき見えなくなった。すごい〜。カッコいい。
おそらく彼女の方がわたしより年上だと思われるのだけど・・・。

ひとりになってまた走り続ける。後半はほとんど下り。なんか左足の爪が変なことになってる感じ。でもそんなこともかまわずに進むのみ。前にランナーは見えなくて後ろからの気配は感じられる。がんばって前に追いつかねば。
でも、もう完走は確実なんだから、別にいいんじゃない?という気持ちもあって、時折後ろから迫ってくるランナーに「どうぞお先に」と道を譲る。そういえば、ここまで必死で景色とかを楽しむ余裕が全然なかったなぁと、鳥の声に耳を澄ませてみたりする。早くゴールに行きたいけど、終わらせるのがもったいないような気持ち。
あと3キロの表示。
そしてあと2キロの表示。あと何分くらいで終わるのだろう?とぼんやり考える。でも2キロを何分で行けるのか計算できない。足だけじゃなくて思考回路も終わっちゃってるのか?
「GO!GO!GO!GO!」と今熊神社の階段のところでハイテンションで声をかけ続けているスタッフ。「この階段が最後の登りだよ」の言葉に思わず笑みがこぼれる。そういえば去年ここでベンチで仰向けで寝転がってる人が何人かいたなぁと思い出す。見ればやっぱり今年もいる!
そしてわたしもベンチで一息。リュックをおろし、ティッシュを出し、鼻をかむ。
トレランの下りっていつも鼻水が垂れるのだ。途中では首に巻いた手ぬぐいでぬぐってたけど、ずっと鼻がかみたかったのだ。ゴール付近ではきっと写真撮影もあるはずだから、ここで身だしなみを整えて、と・・・。

なのに最後の最後でヌッチャン、ヌッチャンにぬかるんだ下りがあって泥だらけに・・・・。
ゴールゲートは気が抜けるくらいあっという間に現れた。手前で拍手で迎えてくださる方々が皆やさしい。お疲れさまーの言葉に笑顔で応える。
正面には大勢の人が見える。「おーい!」とカメラを構える相方の姿も見えた。

やったぁー!完走できた!!
↑ゴールの瞬間。右端にちっちゃく写ってます。

ゴール後にシューズにつけたチップをはずそうとするもそのままヘナヘナと座り込んでしまう。スタッフの方がひざまずきはずしてくださった。ようよう立ち上がり、完走証を受け取る。
完走できただけではなく、昨年より58分のタイム更新というオマケ付き。
人生には時として不思議なことが起こるものですね。

いやはやお疲れちゃん。