こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

信越五岳110K(完走できました!その3)

笹ヶ峰エイドを出たら夕日。どこだったかわからないがリンドウがつぼみでたくさん。ソバの花も咲いていた。
いろんな場所でウメバチソウが咲いていた。夜中もたくさんみたから広範囲に咲いていたな。きれいだった。
鳥の羽根もたくさん落ちていて、特にカケスはまとまって何箇所かでみつけた。わたしの前には何百人も通っているはずなのに拾われず残っていた(当たり前か)。コゲラアカゲラと思われる水玉模様の羽根も。
けれども今回は拾うことも立ち止まることもしなかった。そういう余裕がなかったな。羽根はスルー。カケスはしょっちゅう拾っているから、まあいい。
そして笹ヶ峰からの夜間パートについてはコースもよく覚えていない。
ときどき右から左、左から右へと小さな生き物がすごいスピードで横切った。
痩せた小さなネズミのようなものが。
空を見上げると星がいっぱいで満月は過ぎたものの明るい月。ヘッドライトを手で覆って暗闇の中の夜空を楽しんだ。
下りの長い林道、後ろからどんどん抜かれた。エイドまであと2キロだか2.5キロだかと言われたけれど全然たどり着かなくて脇腹は痛いし辛かった。
75キロ西登山道入り口エイドはすぐに出発。タイムスケジュールより若干遅れていた。今回は短縮や打ち切りのなかった2015年と2018年の制限時間ギリギリの女子のリザルトを参考に作成。
研究の結果、わたしのように走れないタイプは第一関門は関門時間の1時間半前、第二関門、第三関門は30分前に通過しないと完走できないと思った。第一関門、第二関門はこの時間に近いところで通過した。
この先の第三関門はどうなるのだろうか?
西登山道エイドの先は難しいトレイル2キロあるとのことだったがぬかるみが例年より少なかったせいか次の大橋林道エイドには予定通りの時間に到着。いや、若干遅れてはいるのだが誤差は5分くらい。まだ諦めるのは早い。ここでスープをもらった。立っていられなくて椅子に座った。
もうジェルは気持ち悪くて取りたくない。いつもは大丈夫なアミノバリューも飲みたくなくなっていて水でいいやという感じだった。ロングレースでは毎度のことながらオエオエッも始まっていて(今回は早すぎる午後8時くらいから)路肩でえずくが何も出ない。あまり気にせず行こう。
第三関門の戸隠スキー場までは上の手書きの省略しすぎの高低図ではフラットだけど実際はそうでもなかった。走れる林道が延々続くのかな?という甘い勘違いは大いに裏切られた。
牧場の有刺鉄線の脇を通ったとき、草を食む牛たちの目が光っているのにビビる。牛って夜行性なんだ・・・。
驚いてよろけて有刺鉄線をつかみそうになった。みんなは走っていたけどここではあまり走れなかった。たくさん抜かれた。
気づくと一人旅になっていて入り口にでかでかと『熊出没注意』の看板があるトレイル入る。いかにも出そう。ナイトレースの醍醐味はこういう普段なら絶対にひとりでは踏み入れないような場所に真夜中に入っていけること。脇の茂みでカサカサという音も聞いたけどなんだったのかな?(熊ではないと思う)
第三関門戸隠スキー場へはなんとか15分くらい休める時間に到着。やった!蕎麦が食べられる。
ジェルは嫌だったけど蕎麦ならなんとか食べられた。というか食べなきゃこの先進めない。
確かトイレは仮設ではなく常設の綺麗なトイレ。outの計測マットはトイレの先にあった。それを踏んだのがちょうどスタートから18時間(午前0時)。関門の30分前通過クリア!もうこの先には関門はない。やめなければゴールまで行ける!でもゴール時間に間に合うかは微妙。
エイドを出てすぐにこれまで何度も追いついたり追いつかれたりしていたOさんとペーサーKちゃんに会う。
「この時間なら大丈夫だよね?」と言うわたしの言葉に「いや、急がないと危ないって脅かされた」と返ってきた。やはりそうなのか?!
OKペアにできるだけ着いていこうと思ったのに10秒で離された。わたしはダメでもOKペアは完走してね、と後ろから心の中でエールを贈る。

そしてラスボス瑪瑙山へ。途中の誘導の方が「2.5キロで400m登ります」と教えてくれた。確か竜ヶ岳が500登るんじゃなかったっけ?金時山は400くらいだっけ?と思いながら勝手にイメージする。
思っていたより最初は緩やかで、中腹を挟んで二段階の登りだった。きつかったけど登ってしまえば案外あっけなかったと思えた。地面のコンディションが良かったのが幸いした。
下りは急で長かった。ひとりでヒョコヒョコ下っていたら後ろから団体さんが・・・。
「いいですか?着いてきてください」

なんと先頭にいたのは石川さんだった。
これが噂の・・・
完走ギリギリのランナーをゴールまで導くヒロッキーツアー
てか、やっぱりこの位置はギリギリなのかぁ・・・
とにかくこれに着いていけば完走できるのだから着いていくしかないってことでこの列に加わる。
いきなりすごいスピードで下り出す一団。必死で着いていく。さっきまでとは大違い。やればできるんだ。
途中で止まって「3秒深呼吸してください。下りでも心拍上がるから」と石川さん。言われた通りに深呼吸の一団。それを3回くらい繰り返したかな。さらにまたバーッと下って止まって「何か補給を入れてください。ここから次にエイドまで50分で行きます」
えーっ!このスピードであと50分?!
絶対無理な気がして列の最後尾に移動。こんなスピードで走れるなら今こんな位置にいないです・・・
足場の悪い下りに変わり「前の人とぴったりくっついて離れないで!前の人と同じ足の置き方してください。自分なりの置き方をしないで!」と言われるのだけど前と離れていくのであった。
そのうちわたしの前の二人が脱落。
そうだよね、って感じでわたしも離脱。後ろにいたスタッフの方が「まだ可能性はあるから頑張って」と言い残し行ってしまった。
今ので完全に足終わった。石川さんにつぶされたと脱落組で愚痴る。
そのあとまだもうひと登りあり、遠かった最後のエイド。だけど残り時間1時間20分のところで到着できた。
ここからゴールまでは走れる林道が7~8キロということで石川さんはセミナーで1時間と言っていたけどわたしは1時間5分前がタイムリミットと思っていた。ただし、全部走れればの話。(そんなん無理)
エイドはスルーしようと思ったが急がば回れ。スープをカップにもらって飲みながらしばらく歩く。
残り70分で7キロとしたらキロ10分で間に合う計算。
レース2週間前の大倉U練の翌日、キロ10分で2時間歩く練習をした。あのときのスピードより速ければ間に合うのだ。たぶん。
そう思って走り出す。すぐにつらくて歩く。でもこの歩きスピードはキロ10分越えてる。ダメだ走れ!
何人もの人に抜かれる。みんなあと少しってことで元気になって走っている。足のシュッとした見るからに走力のありそうな男性ランナーばかり。
わたしはエイドの時間を削ってただけ。
もうゴールの時間に間に合わなくてもいいんじゃない?ゴールまでは行けるんだから。
なんとこんなところでレースを投げそうになっていた。
あと少しの我慢だというのに。(悪魔がささやいたんだな)
歩く練を思い出し、あんときよりは走っている分速いだろう、大丈夫、間に合うからとにかく走れと今度は天使が出てきてささやいた。
この最後の林道は緩く登っているときいたけどそれは感じなかった。下っているのか登っているのかもしくは平らだったかも全くわからないままゴール地点のざわめきが聞こえるところまで来た。
間に合った!
計測マットはフィニッシュゲート手前の高いところにあった。なるほどここでタイムは計測してあとはゲートまで下る花道なのだな。前の人のゴールの撮影が終わってからゆっくりFINISH(ゴールの作法w)

もうちょっとだけ書きたい気がするのでつづきます。