こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

ハセツネ応援 その4 あきらめなくて良かった

ハセツネでは3つの関門があり、その関門通過タイムが随時貼り出されるので、わたしたち応援組はそれを見て仲間のゴール時間を予想しつつ、待つ事になる。
わたしが仮眠前の午前0時頃では、相方もSさんもまだ第一関門しか通過しておらず、ゴール時間がどうなるか予想が難しい状態。スタート前に準備の良いSさんがポイント通過の予想タイムを一覧表にしたものをくださっていたのだが、それによると二人の第一関門通過タイムはスタート後5時間半くらいだったのでゴールは18時間台ということになりそう。ということは朝の7時前後となるので、とりあえず寝るべと仮眠に入ったのだが、前半はひどい渋滞で時間がかかり、後半は下り基調になるときいていたのでもしかしたらもっと早くゴールするかも?と思い、結局3時間半しか眠らなかった。せっかく応援にきたのにゴールシーンを見逃す訳にはいかないもの。それにランナーの皆さんは徹夜で寒さとも戦いながら動き続けていると考えるととても呑気に寝てはいられなかった。
4時前に再びゴール地点に行ってみると第二関門通過時間が貼り出されていた。それに張り付き、目を皿のようにして二人の名前を探す。それによると相方もSさんも順位は第一関門のときと同じくらいで第二関門を通過していた。相方11時間43分(午前0時43分)、その約40分後にSさんも通過している様子。18時間台ゴール予想タイムよりは遅いペースだがまずまずだ。確実なのは午前6時前のゴールはないということ。
そのうち白々と夜も明けてくる。応援にも疲れて階段のところに座っていたら、ゴールしたランナーの体が冷えないよう配られる毛布をスタッフの人が「どうぞ」とかけてくださった。ちょっと寒くなってきていたのでありがたく体に巻き付ける。でも汗くちゃい・・・(みんなが使ったやつだからね)
この頃から応援も耐久レースの様相。第三関門通過タイムが貼リ出されるのを待つ。今頃、二人はどの辺りを走っているのだろう。実は相方はレース一週間前に細菌性大腸炎で高熱を出していて、直前まで出場をやめるかどうするか迷っていた。体調は回復したものの、下痢が続いていて、食欲もほとんどなかったので基礎体力は低下しているはず。わたしは途中の関門での棄権を勧めていたのだった。練習不足でもあったし、体調も万全ではない状態で完走できるほど初ハセツネは甘くないと思っていたから。このレースに限っては何とかなるだろうは通用しないともきいていた。なのでゴールゲートとリタイア者を乗せたバスの到着の両方をチェックしながら待つことになった。
マイクロバスが到着すると走って行って、乗っていないことを確認しゴールに戻るということを繰り返す。
そしてようやく第三関門通過タイムが貼り出される。二人とも順位は第二関門とさほど変わらないものの、予想していたより遅いタイムでの通過だった。相方17時間17分(午前6時17分)、その約1時間後にSさん通過。
それでも二人はまだレースを続けている。なんて過酷で長いんだ。ハセツネ!
実は相方もSさんも途中でトラブルが発生していた。相方は第一関門通過後に右膝が痛みだし、Sさんは第三関門手前で足にケガをしていた。そのためほとんど走ることができず、苦しみながら歩いていたのだった。
午前9時を過ぎるともう走れなくて足をひきずりながら歩いてゴールするランナーの姿も多くなってくる。レース開始後20時間が過ぎているのだ。たまらず涙を流しているランナーもいる。こちらもウルウルしぱっなしで声が震えてしまうので拍手するのみで迎える。「おかえりー」と声をかけてあげたかったけど。でもみんないい表情している。拍手にうなずきながら笑顔を返してくれるのだ。

そして10時少し前にようやく前方に相方の姿が!
ストックをつきながら、びっこをひいて道路の端を歩いてきた。てっきりリタイアバスで帰ってくると思い込んでいたので驚き!
まさかの完走!ゴールしたあとは全く動けない状態。よく頑張りました。
ほどなくして負傷したSさんもゴール!二人ともお互いの故障を知らなかったのでどちらも相手がうんと先にゴールしていると思っていたらしいけどふたを開けてみればほぼ同じ時間帯のゴールであった。約21時間、途中で寝る事はせず、動き続けていたそう。
あとで相方に感想をきいてみたら「あきらめなくて良かった。途中でやめなくて良かった」というような言葉が返ってきた。これって一位でゴールした後藤さんも叫んでた。
二位の相馬さんも言っていた。ハセツネってひとりひとりにそれぞれドラマがあって、あきらめないで、やめないでいられた人がゴールできる、そんなレースなんですね。

うー、ヤバイ、これ書いてたら涙が出そうになってきた・・・。なんかすごかった。
ゴールした全てのランナーに、完走おめでとう!
完走できなかったランナーにももちろん拍手を贈りたいです。偉大なる挑戦をしたのだから。

一位の後藤選手があきらめなくてよかったー!と叫んでいるところ
35キロ付近で捻挫してたそうです。それも5回も。
でもやめなくて良かったって言ってました