こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

おくりびと

アカデミー賞受賞ということで再上映されていた『おくりびと』を観てきました。混雑はもちろん覚悟の上だったけどあそこまで混んでいるとは思わなかった!
朝イチの上映時間の20分以上前には到着したのに関わらず、すでに長蛇の列。わたしが並んだあたりは「お立ち見も無理かもしれません」とのこと。まわりはほとんどシニアの方々だったので立ち見となれば諦める方もいるかなぁと思い、立ち見覚悟で並ぶ。
10名ずつ制限しつつの入場。ちょうどわたしのところでその10名が切られてしまう。これはだめか・・・と思っていたら「お次、5名様」と呼ばれ入場できた。席は前から二番目の位置に設置された仮設の椅子。壁際にぴったりと頭をつけての鑑賞。スクリーンに映る映像は歪んで見える。けれども映画が始まってしまうとすぐにそんなことも気にならなくなった。

とても良い映画だと思いました。納棺の儀式のときの本木さんの立ち居振る舞いが本当にきれいです。今回賞をとったことでテレビでも良く紹介されるのが彼の美しい字のこと。文字は人柄を現すともいうけれど誠実で完璧主義な人だということがすごく伝わってくる。チェロをひく姿も美しい。
小説と違って映画は映像で観る人に多くのことを伝えるけど、その映画らしい魅力が満載の映画になっていたように思う。セリフはあまり多くない。納棺師という仕事を妻に理解されなかったときも説明や言い訳、説得も彼はしない。言葉がなくても伝わることはあるのだと感じた。
この映画の中で『石文』が出てくるのだけどそれが素敵です。昔の人は気持ちを相手に言葉ではなくその気持ちの形の石を贈ったのだと言います。受け取った人はその石を握って想像するのです。
言葉はときとして相手を傷つけたり、誤解を招いたりします。
石で気持ちを伝え合うなんてとても難しそうだけど案外言葉より伝わるものかもしれません。

この映画を観て、中国での大地震のときに現地に派遣された日本の人々が遺体に対してとても敬意を払っていたという記事が中国の新聞に載っていたことを思い出しました。時代は変わってもわたしたちの中には敬うという気持ちがなくなっていないのだなぁと思います。言葉だって丁寧語の他に尊敬語や謙譲語まである。CMじゃないけど「お疲れさま」と疲れという言葉に「お」をつけてさらに「さま」をつけて使っているのですから。
そういう日本の良さが認められて賞が穫れたんですね。きっと。

本当は公開のときに今ぐらいヒットしていたらもっと良かったんだろうなぁと思いました。わたしも昨年公開のときは興味はあったけど結局観に行きませんでした。アカデミー賞で話題になり劇場に足を運んだわけですから、そのことはごめんなさい!という感じです。
ぜひロングランヒットして欲しいです。とはいえもうすぐDVD発売のようです。

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↑明日は映画の日。席を取ってから映画館へドーゾ


昨日、届きました!DS日本の野鳥図鑑!
早速あれこれいじくってます。
後日詳しくレポしますねー。



<追記>日本アカデミー賞の方は「おくりびと」ばかりが受賞ですがわたしは断然『ザ・マジックアワー 』です。主演男優賞はもちろん、佐藤浩市さんで決まりですね。お腹抱えて笑える作品が賞を穫る日がきますように。