こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

ツバキ文具店

遅ればせながら『ツバキ文具店』を読了。
小川糸さんの作品はいくつか読んでいますが、のめり込めず、それほど好きな作家さんではありませんでした。でもNHKドラマ『ツバキ文具店』は全回視聴!舞台が鎌倉ということもあり、アトリエkikaさんが劇中のカフェのモデルにもなったこともあり楽しみました。
細かいところでは小説とドラマに違いはあるのだけどほぼ一致。ドラマのイメージと小説の印象がかなり一致。珍しいことに小説よりドラマの方が詳細に情景を説明できているような気がするシーンも多々。
キャスティングが良かったからなのでしょうか。
とにかく江波杏子さんのバーバラ婦人がはまり役!
男爵が奥田瑛二さんだったのも良かったなぁ。

小説では鎌倉の有名店の名前がどんどん出てきます。ドラマではさすがに固有名詞は出なかった。
まるで鎌倉ガイドブックのよう。
わたしもかつては鎌倉に暮らしていたので馴じみのある地名やお店の名前が出てくるだけでなんだか嬉しい。
代書した手紙に使用した紙や筆記具、インクなどの銘柄が書かれているのを読むのも楽しいのです。
誰かに手紙を書きたくなってくる。
ポッポちゃんのように美しい文字が書けたらどんなにいいか・・・。

小説とドラマで違っていた点でひとつだけ気になったのは園田さんの手紙の件。
「ただ僕が生きているってことを伝えたいだけなんです」とかつては結婚の約束をした幼馴染みの"さくら"さんに出す手紙の代書を依頼した園田さん。二人とも現在は別の人と結婚し家庭を築いている。今さらどうということではなくてただひとこと元気だと伝えたいだけだと言う。他愛のない普通の手紙でいいのだと。ただし、女性の文字で書いて欲しいと依頼する。彼女の旦那さんが先に手紙をみつけても変な誤解がないように。幸い園田さんの名前は薫で女性とも受け取れる。
よりを戻したいわけでも、愛を告白するわけでもない。ごくごく普通の手紙・・。一線を越えない、相手を乱さない、思いやりに満ちた手紙を。
園田さんは近々入院する予定だった。小説では病名は明かされなかったし、命にかかわるような病気ではないとあった。手術を前にちょっと気持ちが揺れ動いているんだと言っていた。
だけどドラマではのちに園田さんが亡くなるという設定になっていた。
それだと普通の手紙が重い手紙になってしまう。ドラマチックにしすぎと感じてしまった。
ドラマチックじゃなくてもっとささやかに相手のしあわせを願うのでいいのにな。

手紙つながりで。
お年玉付き年賀状の当選の今年の切手シートは干支じゃなくて招き猫。一枚だけ当たりました。
やけにかわいいじゃないの