こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

強運の持ち主

瀬尾まいこさんの『強運の持ち主』を読む。
幸福な食卓』や『図書館の神様』より好きなタイプのお話だった。人と一緒に仕事がするのがいやでひとりでできる占い師になった幸子。ルイーズ吉田なんていうインチキくさい、でもそれっぽい名前をつけて直感で占う日々。最初のうちはまじめに占っていたが画数や星を計算するよりお客さんの話し方や容姿を見て判断する方がずっと当たることに気付く。
ルイーズの占いに3千円も払うくらいなら占いの本を買って読んだ方がいいのにお客さんがあとを断たないのは、みんな誰かに自分を後押ししてくれる言葉が欲しいからなのだ。自分だけに向けられた言葉を。

吉祥寺の丸井の靴売り場にいた頃、売り場の仲間のあいだで近所の占いに行く事がちょっとしたブームになっていた。方角と名前で占うおばさんのところに何回かわたしも通った。相談の内容はいつでも好きな男の子についてのことで「大丈夫!絶対むこうから電話がかかってくるよ!」と言われたその日に彼から連絡があって以来信者になってしまったが、占い師のいうようには上手くゆかず、そののち別の彼を占ってもらったときも「今度は大丈夫!」と言われた割には実らず・・・。そんなことを懲りずに繰り返す20代前半の青春であった。今思えば、ちゃんちゃらおかしいし、つくづく自分でもバカだなーと思うし、占い師のおばさんに全部読まれてたと思うのだけどあの頃は真面目に一喜一憂し、おばさんに逐一報告しに行ったりしてた。
そういうのがそのまんまこの小説に書かれていて、でもそれでもいいんだーとあったかい気持ちになれたのでとっても好きなお話でした。
友達や家族とかじゃなくて全然関係ない第三者にちょっと話きいてもらいたいってことありますよね。たとえお金を払ったとしてでも。それですっきりするならマッサージや整体にゆくようなものだもの。

さて、世界陸上も終わってやっと靴つくりに集中する日々がきた。
ブログにクツの話題が少なくてなんだかイヤになってきました。明日からはクツのはなしができるかな〜?