こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

祝島

映画『祝島』を観ました。
山口県熊毛群上関町 祝島原発建設予定地から3キロのところにある小さな島。
このドキュメンタリー映画は声高に"NO原発"を叫んでいる映画ではなく、ただただ淡々と祝島での暮らしを映し出している。岩だらけの土地、台風が直撃することも多い。人が暮らしやすいとは決していえない環境の中で人々は海からの恵みに支えられ、互いに助け合ってきた。
圧巻なのは萬次郎さんの棚田。祖父、亀二郎さんが将来を見据えて開墾した。
村でただひとりの女漁師のたみちゃん。そのユニークなキャラクターが光る。
村の小学校の入学式、正装して集まった大人たちの前で、「それでは新入生の入場です!」と在校生二人が開けた体育館の扉から出てきたのはたったひとり・・・。全校生徒3名=3兄弟でした。
古くから続く「神舞(かんまい)」というお祭りも素晴らしかった。

そして定例の毎月曜の「原発はんた〜い!エイエイオー!」のゆるいデモ行進。『ミツバチの羽音と地球の回転』と重なる部分は多いけれど、こちらの映画はもっと祝島の人々の暮らしに踏み込んでみせてくれる。
原発推進派のじいちゃんたち、「我々はどうせ死ぬんやから、あとは知らん」と言う。
島のおばちゃんたちは反論する。「話にならんわ」
目の前の命のことではなくて、その先のもっと将来までつづく自分が死んだあとの命の話。
先人が海を自然を残してくれたから今、生活できている。だから自分たちもこれを残さなくてはいけない。シンプルな理由・・・。
誰もが口にするのは原発推進派、反対派に二分されたことが悲しいということ。
原発がなかったら、反対も推進もなかっただろうに。

映画が終わったあと監督さんによるトークショーがあった。想像してたより若い監督さん。松たか子さん似?

2年近く祝島に住み込んで撮影したそうだ。彼女は映像を撮る仕事を志していたわけではなくもともとは事務スタッフだったんだそう。東京生まれの東京育ち。ちょっと意外だった。
映画も良かったけど監督さんのお話も良かった。
最後の質疑応答できいた話。中国電力は電力が余っていて関西電力に電気を売っているような状況で、電気が足りなくて原発をつくるということではないということらしい。上関町長選で原発推進派の現町長が再選されたが、周辺の市町村では原発反対の流れがあるということ。これは福島原発事故を受けてのこと。
この映画は自主上映会というかたちで上映は全国を巡回しているわけであるが、通常なら公開されて一年程でだんだん上映会の数が減ってくるのに、震災、福島原発事故後、上映回数は増えていて、ちょっぴり複雑な心境のご様子でした。
それでも、まだまだ観られる機会は少ないし、もっともっとたくさんの人に観てもらいたいと思う。
サイトによると基本料金¥21000(20人まで)なので場所さえ確保できたら、上映会の開催もできそう→
原発どうのこうのじゃなくて、こういう島での暮らし、観てみるのも楽しいと思います。
監督さんがおっしゃっていたけど、これは島だからできること。島という完結された場所だからという言葉がありましたが、考えてみれば日本だって島。何かがあったとき、陸つながりで簡単に遠くに逃げることもできない島。
だからこそ、島の環境は自分たちのために、子孫のために守るべきなのではないだろうか。
でも、どうやって?
何をすればいい?
具体的に行動するのは簡単なようで難しい。わたしだって、なんもできてません。

先日『Forward to 1985 energy life 』という運動を知りました。
1985年が現在の半分のエネルギー消費にあたり、原発分の電力が不要になるとのことです。
詳しくはこちらのサイトでぜひ→