またまた終了後の展覧会のご報告になってしまいますが。
『沖潤子 さらけでるもの』を鑑賞しました。
1月4日、三が日が終わって空いているかと出かけた鎌倉はまだまだ激混み。甘かった。
でも美術館はほどよく空いていました。
長期間の開催で評判は伝わってきていたものの、沖潤子さんのことを知りませんでした。
刺繍の作品ならぜひ観に行こうと思っていただけです。
けれどわたしが思っていた刺繍とは全く別の"攻めた”刺繍でした。
その細かさに狂気すら感じた。
花がモチーフの作品。
上段左からネクター、泰山木、アネモネ。下段 百日紅、プラタナス。
(作品はフラッシュなしであればどれも撮影OK)
ジャケット
古いスイス・ミリタリー・バッグに刺繍
抽象的なものではなく、身につけられそうなものに目が止まってしまう。
自分は俗っぽい人間なのだとつくづく思います。
作品の裏側も見られる展示になっていて刺繍した糸の玉止めの密集がおもしろかった。
こちらは過去作品を切って綴じて新しい作品に。
器の修復に使われる『よびつぎ』という手法をヒントにしているそう。
器の修復では金継ぎしか知らなかったので、この『呼び継ぎ』に非常に興味を持った。
割れた器の破片が一部足りない場合に他の器の破片を利用して埋めたもの。
全然別のものを繋ぎ合わせてそれがより美しいって衝撃だ。
検索すると盆栽用語にも『呼び継ぎ』があることを知った。(妙なところで盆栽が繋がるな)
やっぱり沖さん、攻めている。
自分とは生涯を賭けて探求するに値する大きな謎
気になるフレーズはノートに書き留めて制作のヒントにする人らしい。
さらけでるものだけが本当で、なんのためにするのかわかる時までって
ランニングぽいなと思ってしまった。
沖さんは『地図に記された路を曲がった先に何があるか、それを見届けないわけにはいかないのだ』とも。この人、とても文才があると思う。沖さんの刺繍作品より文章が好きだと思った。
近代美術館鎌倉別館での次回展示は『美しい本』
www.moma.pref.kanagawa.jp次回こそ、なるべく早く観に行ってご紹介したいと思います。