こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

わたしに会うまでの1600キロ

PCT(パシフィッククレストトレイル)を女性が単独であるく映画ときき、絶対観なきゃ!と思いました。
原題は「Wild」でまたまた邦題がちょっといただけないな・・・と思った『わたしに会うまでの1600キロ』
でも映画の内容はそのタイトルまんま。
母親を亡くし、どん底の生活から『母が誇りに思っていた私に戻るまで歩く』シェリルの実話。
シェリル・ストレイドの自叙伝を映画化したものです。歩いている途中、困ったときに携帯電話が一度も出て来なくてなんでだろう?って思ったけれど、1995年のできごとだったみたい。そんな大昔ではないけれど一昔前のPCT歩き。現在はもう少し違っているのだろうか。
欲を言えば、映画の中でPCTの風景をもっともっと盛り込んで欲しかった。回想シーンが多く、それほどWildな情景がなかったのが残念と言えば残念。そういう意味では以前観た『星の旅人たち』の方がトレイルの風景が良かったかな。
でも35キロのモンスターリュックを背負い、ノーメークでひたすら3ヶ月間歩くシェリルの様子を追うのは楽しかった。
冒頭でいきなり登山靴を谷底に投げ捨てるシーンがあって、一番だいじな靴をそんなことしちゃダメでしょって思ったけど実話なんだから仕方ない。その後は新しい登山靴を手に入れるまでの50マイルはサンダルをダクトテープで足にグルグル巻きにして凌ぐ。だいたい旅の準備の時点でめちゃくちゃで、異様に重いリュック・・・。背負おうとしてぶっ倒れて起き上がれないのってどうよ!?テントの設営も説明書読みながらだし。コンロの燃料は間違うし。でもそのダメさ加減がシェリルなのだ。

PCTの道標のあるポイントに置いてあるノート。(伝言板のようなもの?)そこに自分の名前とひとことを書き込む。今もあるのかな。それがとってもいいなと思った。あとから通るひとがそれを読む。そのコミュニケーションがいい。
そういうときに洒落たひとことを残せるのって憧れる。
映画や小説がいいなぁと思うのはそういういくつかのセリフをきけること。
この映画は観るひとによって刺さるセリフがいろいろで、全編に渡って散りばめられている。BGMもしかり。
わたしはレッドリバーバレーが滲みました。こういう歌詞だったんだぁと。
エンドロールが流れるときに本物のシェリルの旅の途中の写真が出て来るのもよかった。服や身につけていたアクセサリーまで映画で再現されてたし、映画のために誇張していたのかと思われたモンスターリュックもまんま同じで、それがわかった瞬間にまた映画の感想が変わりそうなくらい。
上映している映画館が少ないのが本当に残念だけどぜひ、おすすめします。

シェリルの1000マイル・・・そして20日後に迫ったわたしの100マイル。
どうしたって重ねてしまいます。
「やめたくならないか?」「2分ごとに思ってる」なんていう会話はまさしく同じなんだろうなぁ。
エントリーした自分を呪うのだ。
「バカなことをしなきゃ乗り越えられないときがある」by シェリ
こちらのコラムも!→PCTを歩くということ(画像は公式サイトより)