こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

ふわり

昨日、お渡しできました!


ずっとかかりきりになっていたブーツ、先週末にできあがってようやく昨日お渡し。ラフサンプルでためし履きのときに、ふくらはぎのところがキツかったので型紙直しました。でも、そうすると今度は緩くなっちゃうのではないかと気がかりで・・・。
お渡しするまではのどに何か詰まったような、お腹の具合が悪くなるような・・・。そんなストレスを抱えます。
ちゃんと測ってやってるから大丈夫!!と自分に言い聞かせてみても、不安はつのるばかり。
約束の時間が近づくにつれ、不安と緊張でドキドキ。ピークを迎える頃にピンポーン
やわらかいフワリとした素敵なスカート姿のお客さま。
早速、履いてみていただくと・・・。

瞬間にふわりと気持ちが軽く浮かびました。
ヨカッタ、ふくらはぎ、ぴったり。
この日の装いにもぴったり。
ブーツを履かないときよりもブーツを履いているときの方がほっそりとスマートに見えます。ブーツの柔らかさとスカートの柔らかい感じがマッチ。きっとブーツに合わせてお洋服を選んでお受け取りに来てくださったのだと思います。

つくっているときはとにかくフワフワ宙に浮くくらい楽しくて、だけどお渡し前は緊張でズドーンと落ちてて、ピタッと決まったらまたふわりと浮かぶ、そんな感じ。つくる数だけそんなアップ&ダウンをくり返すのに耐えられるのか??と悩むことも多いですが、この仕事のいいところは送り出したものに笑顔が返ってくること。
「誰か」をできるだけ笑顔の方に近づけること、それが仕事というものの正体なのではないか? 仕事というものはどんな職種であれ、いつも人の笑顔を目指しているもの。


ハイ、どこかできいたようなセリフですね。

大好きな小説、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』 の中の一節です。お客さんに直に商品を手渡すスタイルの仕事はこの笑顔を最前線で見られる貴重な仕事とも言えるけど、返ってくるのがいつも笑顔とは限らず、そんなときは不安もまた最前線で味わうことになる・・。
これを読んだとき、笑顔と不安の両方を味わうことについて考えました。

先日、とあるカフェの本棚でこの本を発見!!
うれしくなりました。

文庫になってたのね。ランチを食べながら再読したのでした・・・。なつかしいオムライスの日月日さんです。