こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

中底を切る

靴つくりってデザインとかが違っても手順は同じで製甲、つり込み、底付けと作業工程は同じことの繰り返しなので最近、ブログのために写真を撮りながら作業したりあんまりしなくなってきてるのだけど、たまには靴つくりらしい話題もしなくっちゃあだわね、ということで。
でも同じ話を何回もしてる気もします。スミマセンこびとくのこだわりは中底にあります。銀付きの中底。「銀」というのは革のオモテ面のこと。銀がついているものは丈夫です。やっぱり値段が高くて『もったいないよ』なんて言われたこともあります。何十万もする高価なクツにだけ使われるようなので。でも手製でやっている人たちは結構使ってますよね。
なんでかっていうと手で加工がしやすいから。
グラインダーやカッターなど使わず、すべて包丁で手で自在に加工できます。こんな風に前だけちょっと薄くしてつり込み代のところを落としてという風に好きなようにアレンジできます。ウエルト製法のときは縫うための加工もします。
でね、この中底を切るときの感触がたまらないんですよ。良く切れる包丁で切るときの気持ちよさは例えようがありません。中底を裁った残りで月型をとります。これも包丁で好みの厚さに漉いていきます。
クツつくり始めた頃はなんでこんな手間を?とかどうして漉き機を使わないんだろ?とか思ったりしたものです。ここまでの作業でまる一日費やしたりもしました。でも今はそんな風なこと思わないです。考えないです。こういうものなんだと思っています。切る感触を噛みしめながら黙々と作業しています。
中底を切り回すところからつり込みが終わるまでは全部ひざの上です。一歩も動きません。ずっと低い椅子に座ったまま。わたしはこういう「膝の上の仕事」がしたかったのです。

でもって、膝ちょっと痛いのですけど雨止んだし、これからランニングに行ってきます。