『母の待つ里』を読む。
これもまた、NHKのドラマがきっかけで読み始めた。
第一話を観たところで読み始めたので最終回の前に読了。
驚くほどそのまま、小説の世界が映像になっていた。
いや、宮本信子さんの演技がすごすきて小説を超えた映像だった。
小説の中にしか出てこない登場人物のひとりは室田精一の妹で、その妹さんをドラマで省いたのは大正解だと思った。
たったの四話で完結するドラマの方が小説よりわかりやすくて良かった。
原作よりドラマが良い、そういうことは珍しいと思う。
そういえば『舟を編む』もそうでしたね。
確かドラマにはなかったエピソードだと思うが、三途の川の舟は三人乗りという話が印象に残った。(全然、重要なシーンじゃないです)
医師の古賀夏生とベテランナースとの会話の中で出てくるのだが、三途の川の渡し舟は三人乗りだから病院で一人亡くなると数人続く、だから二人亡くなった日はさらに気を引き締めなさいとナース間では言われているというもの。
三人乗りなのか・・・
ギョッとしつつも、ギチギチに渡し舟に乗っている様子を想像してしまった。
東北の過疎の村でひとり暮らす母ちよ(宮本信子さん)。
そこへ里帰りする松永徹(中井貴一)と室田精一(佐々木蔵之介)と古賀夏生(松嶋菜々子)。
実はこれはふるさとを提供する一泊二日50万円のカード会社のサービス。
そんな高額なサービスを利用する人などいるのか?と初めは思っていたけれど、読んでいるうちにドラマを観ているうちに、これはリピしてもおかしくないサービスだと思うようになります。
参りました!
とにかくちよさんの「なんもなんも」という言葉が優しくて。
でも最後は悲しい。
"母が"待つ里ではなく"母の"待つ里だったのだなぁ。
タイトルも良い小説でした。
