こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

岸辺のヤービ

最近読んだおすすめの一冊。

岸辺のヤービ (福音館創作童話シリーズ)

梨木香歩さんの『岸辺のヤービ 』です。

 

好きなシーンがてんこ盛り。

サニークリフ・フリー・スクールの教師のわたし(ウタドリさん)は休みの日に灯心草の群生するマッドガイドウォーターの岸辺で本を読むのが好き。

冷やしたレモネードにははちみつとレモン汁とすったレモンの皮とほんの少しの生姜、サンドイッチには酢漬けの玉ねぎスライスやちぎったルッコラ、スモークサーモンなどや半熟のゆで卵をあらくつぶしたのにたっぷりのアルファルファをまぶし、粒マスタードを入れたマヨネーズで和えたもの、あるいは縦に薄くスライスしたきゅうりをいくえにも厚く重ねただけのもの・・・。

こんなおいしそうなものを傍にボートの上で読書をしていたときにヤービとばったり会うところから物語は始まります。

梨木さんの文章はもちろんだけど小沢さかえさんの挿絵も良いのです。

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ヤービたちクーイ族の家は昔からオオアカゲラのつくった巣穴を土台にしていました。

けれども最近はそれが難しくなっています。その理由はオオアカゲラが激減したこと。

オオアカゲラが巣をつくる朽木があるような場所が減っているのも理由のひとつ。

そのため最近ではアオゲラの巣で間に合わす若いクーイ族もいるそう。

アオゲラはあまり減っておらず進取の気性をもっており、大きい人たち(人間)の住む町中の公園にすら現れる。将来的にはアオゲラのみになるでしょうと書かれています。

 

このあたりはバードウォッチャーである梨木さんならではだと思います。

他にもカワガラスキジバトカイツブリの古巣、ヤドリギで巣の入り口を隠す、スイカヅラのつるを巻くなど鳥や植物の名前がたくさん出てきます。やっぱり知らないよりかは名前を知っている方が楽しめる。

ウタドリさんとヤービの会話の中で「図鑑」という言葉が出てきます。

ヤービは「図鑑」のことを知らなかったのだけれどそれを聞いて『それこそぼくがつくりたいと思っているものです!』と答えるところが一番好きでした。

だって、わたしもだから。(そういう人はいっぱいいますよね?)

 

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今、続編の『ヤービの深い秋』を読んでいます。
現実世界を逃避中。この本があってよかった。