こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

靴屋のタスケさん

『靴屋のタスケさん』読了。魔女の宅急便』の角野栄子さんの著書。
一九四二年、初夏ー
と物語は始まる。それって昭和何年だっけ?と思ってしまった。
平成はもう数えられなくて年号じゃなくて西暦での表示にしてくれー!って思っているくせに昭和は年号の方がわかりやすい。
一九四二年は昭和17年。割とすぐに計算できるのは終戦の年が昭和20年でそれがわたしの生まれるちょうど20年前だから。
主人公の"わたし"は一年生になったばかり。つまりはうちの父と同年代だ。角野栄子さんがそうなのかな(追記・やはりそうでした1935年生まれ)
近所に「タスケ靴店」がオープンする。わたしはタスケさんが仕事する様子を毎日ながめに行く。
この本の挿絵には期待通り靴職人の道具や作業場風景が描かれている。
それが見たくてこの本を手に取った。
タスケさんは低い椅子に座って、輪げさをしてスクイ縫いをしていた。
いつの時代もそういう職人さんの作業する姿は子供を魅了する。
優しいタスケさん。視力が悪くて兵隊さんの試験に落ちた。『お国のお役に立てないこまりものさ』
そんなタスケさんが2年生になったわたしに言う。『おじょうちゃん、おれもとうとう、戦争にいくことになったよ。』
『この目でもお国の役にたつそうだ。兵隊さんはたくさんいたほうがいいからね』と兵隊さんになるために田舎に帰っていった。
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15歳になったわたしはある日、幻をみる・・・
物語に起承転結というものがあるとすればこの物語には"結"がない。
戦争とはそういうものかもしれない。

見返しには靴つくりの道具を配置した模様が!

こびとくコレクションの一部。靴屋さんの作業風景や道具が見たくて靴屋のでてくる絵本を集めています。
大概のくつやの共通点は貧乏なこと。
『わたしは、もとどおりの びんぼうくつやでけっこうです』と言い切る潔さが好き。(おかねもちとくつやさんより)