こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

藤巻義夫展

三浦国際マラソンの応援のあと、トレイル走って帰ろうかとも考えたが、あまりに寒かったのでそれはやめて代わりに鎌倉で途中下車。藤牧義夫展へ。
牧義夫は1930年代に活動した木版画家。16歳で上京し働きながら独学で木版画を学ぶ。
1932年に小野忠重らによって結成された新版画集団に参加して頭角をあらわすが1935年に行方がわからなくなる。
よって制作活動はごく短い期間であり、幻の版画家と呼ばれている。

わたしも名前も作品も全く知りませんでした。
でも、木版は大好きなので予備知識もほとんどないまま観に行きました。
どの作品もよかったなぁ・・・。

「白描絵巻」という長い(16メートルもある)隅田川周辺をスケッチした絵巻物がすごかった。
輪郭線のみで繊細に描かれている。
何月何日の午前8時20分から午後6時まで、
何月何日の午前9時から午後5時まで・・というように三日間に渡って描かれた時間も明記されている。
絵の中の葉っぱが茂っている感じからおそらく季節は暑い時期。
藤牧氏の集中力みたいなものがビンビン伝わってくるようでした。

最近思うのだけど、世の中のスピードがどんどん速くなっていて、じっくり・・ってことが少なくなってきている。
お料理だって何だって"時短"の時代。
だけど、時間をかける楽しみもあるよね。
ここのところ三浦縦断トレイルにはまっているのもきっとそのことと関係ある。
朝8時にスタートして午後5時くらいまで動き続けるトレランがどうしてこんなに楽しいのか?
工程が多く、時間がかかる靴つくりの作業に決して飽きるということがないのはなぜなのか?
なんで一日中やってんのか?

わかる人にはわかる。きっと。

白描絵巻みながらそんなことを考えた。
美術館のカフェのプリン。おいしかった。