こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

唐人お吉

レース後は下田まで足を延ばし、『唐人お吉記念館』に立ち寄って来ました。
先日、新幹線から持ち帰ってきたトランヴェールの中に『唐人お吉の虚と実』という記事があり、興味をもったのがきっかけ。
ハリスの侍妾となったことで「唐人お吉」と呼ばれた斎藤きちという女性をモデルに小説が書かれ、それはお芝居や映画になっている。

あらすじ
公衆浴場帰りにハリスに見初められたお吉は「お国のため」と説得され、無理矢理恋人と別れさせられ、ハリスに仕えることになる。ハリスが江戸に去ったあとのお吉は、異人と交わった女としてさげすまれ、妬みから営んでいた小料理屋も廃業させられ、髪結い業に転じるもそれも失敗、酒浸りの生活を送るようになり、脳梗塞を患い身体も不自由になり、最後は川に身を投げ、悲劇の人生に自ら幕を下ろす。
お吉についての詳細はこちらでどうぞ→記念館(宝福寺)では絵と文章でお吉の半生を詳しく紹介。
ハリスが病気になったときに牛乳を探しに駆け回ったり(当時は牛の乳を飲むのは牛の子だけと言われていて人間の飲むものではなかったそう)、献身的に仕えていたことがわかる。
外国人と接することなど想像もつかない時代に彼らに仕えた女性は、周囲から好奇の目で見られ、侮蔑される一方で高い手当をもらうことへの妬みもあった。そのせいで商売はうまくゆかず、お吉の晩年はお酒に溺れ、最後は乞食同然に。『開国の生け贄』と書いてあったけどまさしくそのような人生だと思った。
開国の陰にはお吉のような女性が幾人もいる。
条約締結の手柄は男性にとられてしまい、ほとんどその存在が明るみに出ることはないが歴史に名が残らなくても大きく歴史を動かした女性たちは確かに数多くいるのである。

またこの宝福寺は脱藩の罪を負った坂本龍馬勝海舟の直談判により山内容堂に許された場所でもあるそうで、その謁見の間が公開されています。
赦免の証にとひょうたんを描いた容堂の扇子も展示されていました。
記念館にはちょこっと立ち寄るだけのつもりがつい読みふけり、長居してしまいました。

いっつも思うけど歴史ってほんとにあった話だからおもしろいんだよね。
"暗記科目"なんかじゃありません。