こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

メグル

最近はブログやアマゾンの書評を読んで気になった本を図書館で予約するということが多くなり、予備知識なく本を選ぶということが少なくなってしまった。そんな中、たまたま偶然に手にして読んだ本がツボだったという久しぶりの経験をしたのが乾ルカ『メグル』

大学学生部の女性職員から「あなたはこれよ。断らないでね」と半ば強要されるように紹介されたアルバイト先でのできごとを5人の学生の5つ人間ドラマとして書かれている。
最初のストーリー『ヒカレル』に一番心惹かれた。
紹介されたアルバイトは通夜の夜、亡くなったおばあさんの手を一晩握って添い寝するというもの。
その地域ではまれに『引く手』と呼ばれる手だけ死後硬直しない現象がある。その手は通夜の晩に生きている人をあの世に一緒に引っ張っていくという。特に近親者は引っ張られやすいので、全然無関係のしかも体力のある若者にしっかりと押さえておいてもらいたいのだというのがこのバイトの内容であった。
そしてその夜、起こった不思議なできごと・・・。
こういうこと、本当にあるのかもな・・って思った。

二つ目のバイトのストーリーは『モドル』。これは父親の介護をする母親。それをみつめる娘の物語・・・・。
この構図はよくあるパターンではあるけれど・・・。

5つのストーリーの中には後味の悪いものもあったりもするけど、それでもたまたま巡り会った本が、これ自分のこと書いてあるんじゃないの?と思ったり、主人公に妙に共感できたり、何か符合するものがあったり、そういう経験って誰にでもありますよね。そういう感じのする小説でした。
インターネットのない頃ってレストランでもお宿でも本でも、事前知識なしで直感で選んでいたりした。もちろんハズレや失敗もあったけど、そこには探す楽しみやビンゴ!!があったと思う。
便利な世の中ですが、もうちょっとその頃に戻ってみようと思った次第。

今年は関東の紅葉は遅い?