こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

ハセツネ完走レポ・その4

御岳山に向かう道は走れる箇所ということもあって、わたしがのんびりストックの長さを調整している間にみんな見えなくなり、再びひとり旅となった。
試走のときには何でもないって思った鎖場も疲れた足、ストックで両手がふさがっている状態で通るのは少し大変だった。慎重に進む。鎖場を過ぎるとほんとにもう、難所はない。トレイルの幅も広がり、滑落するような場所もない。
女子供でも安心して歩けるようなトレイルになる。しかも完璧に夜が明けてて明るいし。
だけど、このあたりからちょっとおもしろくなくなってきていたかもしれない。早くゴールに辿り着きたい反面、もうちょっと暗闇のおっかないレースが続いて欲しかったような。

ほどなく水場に到着。先日の試走のとき「本番でも飲むぞ〜」と言ってた場所。本番でも飲んだぞ〜〜〜
ここには数人群がり、ペットボトルに水を汲んでいた人もいたがわたしはまだたっぷりの水を背中に背負っていたのでここでは手ですくって飲むのみ。汚れた手を洗ってさっぱりする。あー、はみがきもしたいっす。

第三関門通過は8時50分頃。この時間ではここで休憩している人はおらず、わたしもそのまま通り過ぎる。「完走できますよ〜」とスタッフの方の太鼓判をもらう。そのまま御嶽神社へ。
あ、ここにもそういえばトイレがあったと思い出し、一応立ち寄ってみる。水洗を期待したがここも泡。
わたしの今回のハセツネはトイレ行脚です〜。

そして日の出山。あと11キロ!!スタートからなんと20時間半以上が経過〜。
自分の時計がこんなタイムを刻んでいるのははじめてみた。ベンチで休憩。朝ごはんのつもりでソフトチーズケーキを食べる。今回は最後まで固形物、おいしくいただきました。ずっと食欲もあった。一度も眠くもならなかった。
隣りで休憩していた男性がここからゴールまで2時間と言っていたが、わたしにはそれは無理かなぁと思った。ここまで目安は一時間に3キロというペース。ある意味驚くべき遅さなわけだが、24時間内完走を目指す人たちの合い言葉は「時速3キロ」なのだ。となると残り11キロ、下り基調とはいえそれなりの時間がかかりそうと覚悟を決め、出発。もう休憩はしない、トイレにも寄りません。
日の出山からの下山ルートには試走のとき少し迷ったので不安があったが、そんな心配は無用でちゃんとスタッフの方がいて誘導してくれていた。全コースにおいて言えることだが、コースを示す看板が分岐には必ずあり、赤い点滅灯も光っているのでほとんど迷う心配はなかった。危険箇所にはテープもある。
ハセツネってエイドがなくて誰の助けも借りないでゴールしなきゃいけないレースだけど、こういう無言の温かさが感じられるレースだった。スタッフの方々も手は出してくれないけど、精一杯の声はかけてくださる。声援だけは許された唯一のサポートかのように。特に数少ない女子選手には声かけが多かったように思う。さらに言えばわたしみたいな遅いランナーには特に。みんなやさしいね。

65Kの看板をみたとき、ああ、これで終われるって思った。
あと5キロの看板みたら泣きそうになった。
が、しかし、まだまだ長いのよ〜〜。そして真夏並みに暑いのよ〜〜。
一体あの天気予報は何だったのか??例年より開催時期が2週間ずれこんだことでしきりに言われていた"防寒対策"って何だったのか?ホカロンもってきてたけど、ジリジリ照りつける朝の日射しに溶けそうになってるって意味ワカラナイ〜
この頃のわたしは平坦は走る、ちょっとでも登ってると歩く、急なくだりはへっぴりという状態だったので、前のランナーを平坦で抜いても登りや下りで追いつかれ、何度も譲ったり、譲られの繰り返し。
あまりにもこれをくり返してるのでうっとうしいだろうなぁと思い(抜いたらとっとと先に行きやがれですよね)、「何べんもすいません」とあやまったところ、「俺もひざが痛いから、かまわないっすよ」とやっぱり優しい〜。マイペースで早歩きを淡々と続ける素敵な方でした。レース中、いっぱいいろんな方とお話しました。20時間を超えたところの皆さんはなんというか腹のすわった方が多いように思いました。

それにしても暑いし、長いし、もう疲れてる。終わりそうで終わらない金比羅尾根。
だんだん腹が立ってくる。
もう、奥多摩なんか二度とこない、ハセツネこりごり。
完走できればもう、いいよ。
ハセツネなんてきらいだー

あと2キロの看板のところで止まって「あと2キロ」と夫にメール。最後の一口だったポカリを飲み干す。
ときどきコースを逆走してくる応援の人に励まされながら、あと少し。トレイルを抜け出しコンクリートの坂道へ。
最後にこれかー。足の裏、膝にひびいて痛い。舗装路ってほんとにやさしくない。
だけど、沿道のところどころに拍手しながら「お帰り〜」と言ってくれる見知らぬ応援の方々。ヤバイ、うるうるしてしまう。「がんばれー」じゃなくてこの「おかえりー」って言葉にはやられましたね。そういえば「行ってきまーす」といいながらスタートしたのだった。同じ場所に帰ってきた。一晩かけてなんという遠回り!!!
「ありがとうございまーす」と答えているつもりが声が震えてしまう。相当ヤバイ。
ゴールしたら号泣しちゃうのかな?なんて考えていたが、最後の角を曲がったらあっさりゴールが見えて、思ってたより閑散としてて(もっとどっさり人がいるのかと思ってた)、「お〜い」と呼ぶ夫&ラン仲間Sさんの姿がみえて「ヤッター!!」と両手をあげてゴール。「つかれた〜〜〜〜」という言葉しか出なかった。泣かなかった。夫の「来年も出るのかー?」の問いに「出ない!!もういや!」と即答。夫&Sさん唖然・・・。
ハセツネきらい〜と叫んでました。

こんだけ頑張ってきて結論それ?みたいな感じ。
だけど、完走証もらって完走Tシャツ手にして、ジワジワくるんですよね。
嬉しい!やった!わたしにもできた!!って。
途中であきらめなくてよかった。

で、1時間後には「わたしにも20時間切りとかできるのかなー」だって。
今回はトイレに寄り過ぎ、休憩しすぎだったからそれやめれば伸びしろあるよね・・・だって。

ハセツネくん、やっぱり大好き♡ 


なんとか23時間は切れました!

消費エネルギー 7728キロカロリー
摂取カロリー  約1400キロカロリー



おしまい。