こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

森に眠る魚


角田光代さんの『森に眠る魚』をかなり時間をかけて読了。
この小説、とっても怖いです。サスペンスというよりホラーに近いかも。
小さな子供を持つ母親、繭子、瞳、千花、容子の4人と彼女らより少し大きい娘のいるかおり。この5人のママ友が物語の主人公。最初は仲良くしているのだけど子供のお受験がからんでくると関係が変貌してくる。
他人と比べたり、羨ましがったり、妬んだり。
角田さんは女性の心情を描写するのが上手いとか言われるけど、わたしはほんとにそうなのかな?とも思う。
女性の嫌なところを浮き彫りにするのが得意な作家・・と呼ぶ方が良い気がする。
確かに他人と比べたり、見栄を張ったりとかはあるけど、もっと女同士の友情っていいものだと思うけど。
子供がいると違ってくるのかな。お受験となると違ってくるのかな?
どちらも経験がないのでわからない。
でもこの本に共感するのは危険すぎる気がするので、お受験のお子さんのいる人は読まない方がいいかも。

精神的に追いつめられて過食になったり、おかしなことを口走ったり、変な行動をとったり、自分でも自覚できているのに止められない感じが恐かった。
そしてそういうときに「夫」という人の存在が少しの役にも立っていないこともなんだか救われない。

・・・・・
夕飯の支度の途中でまな板の上の野菜を凝視する。刻んだのはいいがそれをどうしようとしていたのか彼女は思い出す事ができない。考えているうちに全く何もしたくなくなり、子供の鳴き声が遠くで聞こえるが抱き上げることもできない。足が動かない。どうしちゃったの私。としゃがみこみすすり泣く。帰って来た夫はまな板の上の乾燥した野菜、水だけ張ってある鍋、泣いている子供、山になった洗濯物、放心して座り込んでいる妻をみて狼狽する。どうしたの、と訊く夫に突然怒りが湧く彼女。
どうしたのっていったいなんなの。あなたが訊いているのは私のことじゃないでしょう。夕飯はどうするのか、洗濯物はどうするのか、この泣いている子はどうするのか訊いているだけじゃない!
・・・・・

怖すぎます。


この時期限定、メカブが魚屋さんの店先に並び始めました
やっとやっと寒さも緩んできましたネ