こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

タイム屋文庫

朝倉かすみの『タイム屋文庫』読了。

おばあちゃんが亡くなって、上司との不倫を終わらせて会社を退職して、おばあちゃんちに住むことになった柊子。引越しの荷物は本が多かった。それもタイムトラベルにちなんだものばかりだった。蒐集歴はおよそ15年。きっかけは初恋のひと、吉成くん。彼は時間旅行のSFが好きだった。
夏への扉(←わたしも好き!)』『たんぽぽ娘』『シューレス・ジョー』『ふりだしに戻る』『マイナス・ゼロ』・・・自分の蔵書を眺めているうちに「タイムトラベルの本しか置いてない本屋があったらいいな」という吉成くんの言葉を思い出す。

柊子は「タイム屋文庫」という貸本屋を始めることにした。ただひとりの客、吉成くんを待つために・・・。

というロマンチック全開のストーリー。
少女マンガチックなのはニガテなこびとくですがおばあちゃんちの二階で始めたこの貸本屋さんが良くて数時間で一気に読んでしまった。コーヒーも飲める古民家貸本屋さん。単行本は100円、その他は50円。飲み物は一律350円。貸し出し期間は一週間。こんなのあったらいいなぁ〜。お店の開店準備をしてるとこ読むとわくわくしてしまう。
でもこの店を経営するためには柊子はバイトをかけもちしているのだが。
やっぱり貸本屋の経営はキビシイのだ。

昔って、お客の入ってないヒマそうな喫茶店とか、絶対売れてなさそうな金物屋とか割と普通にあったよなって思う。あんまり稼いでなくてもなぜか成り立っているお店が多かったと思う。でも今は売れてないとだめ!みたいな感じがあってそういう店はどんどん閉店してしまう。
ほんとにそれでいいの?
世の中にのりしろっていうか余分な部分、もっと必要なんじゃないの?ってときどき思う。

待ちこがれた吉成くんとの再会のシーンはエッ?というくらいあっけないけど、ホッとさせてくれる一冊です。


フマズ部分をカットする手法を久々に。
これだととても軽快になるはず。