こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

ぼくには数字が風景に見える

『ぼくには数字が風景に見える』を読む。筆者ダニエルはサヴァン症候群アスペルガー症候群でもある。その彼が自分の頭の中と心の中を自分の言葉で語っている。
この本のタイトルにあるようにダニエルには数字が美しい風景に見える。
数字を見ると色や形や感情が浮かんでくるというのは共感覚と呼ばれる現象で対人関係の苦手なダニエルは数字を使って人の感情を理解したりする。1は人なつこく、5は騒々しい、4は内気でもの静かだ・・というように。教科書のひとけた繰り上がって式の計算より、共感覚がもたらす形を使って答えを視覚化するほうがはるかに簡単なのだと言う。

共感覚のないわたしたちにとって想像することは難しいがπ(円周率)の数字についての記述を読むとなるほどなぁと思う。πの小数点以下はどこまでもに続いていることはよく知られているがそれがダニエルには右のような風景に見える。ひとまとまりごとに風景は変わり、新しい形、色、質感が現れるのだと言う。そしてそれが延々繰り返されると。
『博士の愛した数式 』を彷彿させるダニエルの言葉。

πの数字の中で一番有名な部分はファインマンポイント。762桁から767桁までの
・・・・999999・・・・と9が6つ連なる部分。
ファインマンポイントの風景はとても美しい。
同じような美しい数字のつながりが19437〜19453桁までにある。
・・・・9999218599999399・・・・・4つの9、5つの9、また2つの9。2万4500個の数字の中でこの部分が一番気に入っている。

計算が得意な天才というと理系の頭脳を持つ人(なんか短絡的な表現)と思ってしまうがこの手記は全編に渡って文学的。1は明るく輝く白で懐中電灯で目を照らされるようなかんじ。5は雷鳴あるいは岩に当たってくだける波の音。89は舞い落ちる雪に見える・・・・
そんなダニエルがうらやましくなります。
ぜひ、ご一読を。

以前NHKで放送されたときのものが↑DVD化されてます