こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

履き心地レポ

先日のオールソール修理のガンメタのクツ。どうぞ修理前と修理後を比べてみてください。
やっぱり木型を入れて直すと型くずれも回復するし、中敷きとヒモを新しくすると見違えます。ちょっと甲革もくたびれていたようだったので高級クリームで磨きました。すると、しっとりつややかに。

一週間ほど履いてみたオーナーさまから「履き心地」レポのメールが届きました。
ノミの心臓のこびとくは件名にクツがらみの言葉が入っているだけでメールを開封するまえから緊張してしまいます。悪い知らせだったらどうしよう〜と。
これは電話のときも同じで「もしもし、こびとのくつやさんですか?この前つくっていただいたクツですけど・・・」などと言われたら、心臓を素手でつかまれたように縮み上がります。でも電話はこんな風に続いたりします。「この前つくっていただいたクツですけど、とっても履きやすいのでぜひお友達を紹介したいの...」と。グッジョブ!

それはさておき、履き心地レポです。
最初は違和感があったそうで(ここでまたドキッ、汗がドーッ)でもじきにそれも無くなり、快適に履いていただいているとのこと。
時間をかけて直して良かったなぁと苦労が報われる思いです。

本当いうとオーダー靴、100パーセントみんな最高のフィット感が得られているわけではありません。
イマイチだなぁと思われる方もきっといらっしゃるのだと思います。
それがわかっているからなおさら、履きやすい、履き心地いい、気に入りましたという言葉はうれしいし、ホッとします。
でも、本当はメールやお便りになって届かないネガティブな声のことも忘れてはならないですよね。けれどもやっぱり、こびとく日誌にはいいことばかり書いておきます。どうかお許しを

今日,靴を受け取りにいらっしゃったお客さま。お嬢さんとご主人からのプレゼントでとても楽しみにしてくださっていました。出来上がりを見て、カジュアルにもフォーマルにも使えそうと喜んでくださいました。履いた感じも具合良くてにっこり。
こびとくもにっこり。

このときに思いました。ああ、わたしだけじゃないんだなって。
ちゃんと足が入るかどうか(なんちゅう初歩的な不安!)痛くないかどうか心配で不安なのは靴のオーナーさんも一緒なんだなって。

わたしはあまりにもこのお渡しのときのプレッシャーが強過ぎて、一時期この仕事向いてないのでは?と考えていたときがあります。でも靴つくりに限らず、なんだって自分のつくったものをじかにお客さんに手渡す仕事をしている人はこのプレッシャーと戦っているのだからと思い直して現在に至る・・・です。

ともかく、今週はホッとすることばかりの週でした。
そして、本日より、待望の夏休みいただきまーす!