こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

ガンメタ

先日オールソール修理でお預かりしたクツ。送っていただいたのだが、箱を開けてみて思わずうわぁーと声をあげそうになったくらいいい感じに履き込まれている。
黒にとても近いグレーという不思議な色をした革で、この革をお客さまが選ばれたときに『ガンメタってわかります?』ときかれたことを覚えている。わたしにはガンメタがどういう意味かわからなかったのだが、ガンメタリックのことで銃みたいな色を指すのだと教えてくださった。本当にその通りの色で、ステッチは革の色よりも明るめのグレーでと指示されて楽しくつくったことをよく記憶している。
お客さまの足型、使った木型や出来上がったクツの写真、使用した革のハギレなどとともに修理の履歴を書いたメモやら資料をファイリングしているのだがこのクツのオーナーさんのファイルの中に当時のスケッチが残っていた。
最初にお客さまが簡単なスケッチを書かれ、それをもとに革で試作をしたものを見てもらい、そのあと修正したいところをまたお客さまがスケッチしたのである。スケッチにはわたしの字で書き込みもたくさんされている。

『・・・ちょっと具体的になりすぎました。細かい点まで書いてありますが酒井さんなりのアレンジをしてもらってOKです』と添えられたひとことが嬉しいのだった。

ビスポークってビー スポークン(spoken)、つくり手と履き手が話し合ってつくるという意味が語源なのだときいたことがある。
まさしくこれがビスポークではないですか。うふふ。

一足、一足思い出がいっぱいです。

さあ、今日穫るか?明日穫るか?
それとも・・・?悩みどころです