こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

石川四高

金沢21世紀美術館のそばに赤煉瓦の建物がある。そのとなりは公園で緑に囲まれた美しい場所だ。建物の中は文学館になっているのかな?ぐらいの認知度しかなかったのだが(昔からあるのにその程度の興味しか持っていなかった)美術館へ行く途中、リニューアルオープンされたという看板を見てふと立ち寄ってみる気になった。



中に入ると長い廊下が続いていた。もらったパンフレットを見て初めてここが『四高(しこう)』と呼ばれた旧制高等学校であったことを知った。
ということは井上靖の小説『北の海』に出てくるあの柔道部のある学校である。
元教室だった部屋のいくつかで四高に関する資料の展示がなされていた。当時の学生生活を知る事ができるように写真や書物の他に寮部屋の詳しい模型などもあった。

空いている教室は貸し出しスペースとして一般に解放されているようでいくつかの講座が開催されていた。建物の奥の方は近代文学館で有料スペース、手前は無料のスペースである。
夜間はライトアップされてきれいなので夜もおすすめ。→石川四高記念文化交流館

この日実家に戻ってからここへ行った話をしたら「懐かしいな」としげしげとパンフレットに見入る父。懐かしいとはどういうこと?と思ったらなんと父はこの校舎で学んだのだと言う。明治20年に設立され昭和25年に閉校した四高はその後大学の校舎として使用されていたのだ。父の学部はこの建物の中にあったのだそうだ。「ってことは、正門前の文房具屋の宮地のオッサンとか知ってる?」ときくと「おう」と父。「じゃあ、お父さんも展示してあった制帽にマントに下駄履いてたの?」「そうや、あの頃はみんな高下駄やった。帽子は油を塗ってな、ピカピカに光らせたもんや。」などと目を細める父。「片町やら香林坊は学生相手の店がいっぱいあって・・・」と展示室で観てきたとおりのことを話し始めた。

珍しく父の青春時代の話をきいたひとときだった。まさしくヘェ〜の連続デシタ。

                     ↑当時を復元した教室