こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

赤い靴

赤い靴をつくっている。

オーナーさんは初めてのお客さまで最初のクツは特に甲の深めのもの、もしくはベルトやゴムなどで固定できるものをお勧めした。
しかし、希望されていたのは甲の浅いクツだったようで、一応納得はされたものの、渋々というご様子だった。

パンツではなくスカートに合わせたいとかスッと履けるものをとか、その人によって様々な事情がある。せっかくオーダーでつくるのだからできるだけご希望に添いたい。

結局、ではやってみましょうということで丸ぐりのクツをつくることになった。
だけどなるべく甲は深めにさせてください、ということで。

一番簡単に見えて一番難しいクツである。
甲が高くても幅が広くても足は入る。だけど歩きやすいクツか?というと疑問が残る。
こういうクツでヒールがあればそれようの歩き方をするからかカカトが脱げるようなことはないのであるがこびとく製のようにヒールが低い場合はカカトが脱げやすくなる場合もある。だからと言って窮屈につくるわけにもゆかず、悩ましい限り。

そして一番つらいのはこの赤い革がもうないこと。
つまりやり直しは一切きかないのである・・・。