こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

ガール

金沢への行き帰りに読んだ本の話を。今回、帰省直前に新潟中越地震が発生したのでいつもは上越新幹線を使って帰省するところを東海道新幹線米原経由にして福井まわりで金沢入りした。それで選んだのが福井出身の津村節子さんの菊日和という短編集。ところがこの短編集はどれも「死」に遭遇する物語ばかりであって梅雨明けぬどんよりした車窓とあいまって気持ちが大きく沈んでしまった。大失敗!なのであった。 で、気を取り直して、帰りに読んだのが奥田英朗さんのガールである。帯には『30代。OL。文句ある?』と勇ましいキャッチコピー。まさしくそのとおりのショートストーリーが5つ。「会社はおじさんと女の子で回っているのだ」というのがホントにそのとおりで笑えた。奥田さんって男性だと思っていたけどもしかして女性?と思うくらいに30代女性の心理をつかんでいて驚くばかりだ。(筆者はまちがいなく男性でした)テンポよく小気味良く、オモシロイ小説です。もちろん元気にもなれる。 わたしが好きだったのは「マンション」という表題のストーリー。独身OLがマンション買うことを決心した途端に会社に対して守りの姿勢になってしまう。今まではいつでも辞めてやるーと好き勝手な発言ができたのにローンを抱えると考えただけで「簡単には辞められない」となってしまうのだ。でもやっぱり自分らしさを失わないように自分が好きでいられるような道を探す彼女が健気でもあり、応援したくなってしまう。やっぱりオンナの味方はオンナなのだ。既婚でも独身でも子供がいてもいなくても。 これ読んで元気になったことだし、さ、いっちょ真面目に働きますか。