こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

カジュアルとフォーマルの間

よく悩むのは『折るべきか、折らざるべきか』ということ。例えばこの画像の2足、同じようだけど違うクツなのだ。コンビのクツ(上)は全て切りっぱなし、ワインのクツは全て折り込まれている。デザインが同じでもこうした細部の仕上げ方が違うと全く違った印象のクツになる。(この2足の場合は使った木型も違うのだが)

折り込めば、切りっぱなしよりエレガントになるわけなのだが、では切りっぱなしがエレガントではないかと言えばそういうことでもないと思う。  
 一時期、何でもかんでも折っていた時期があった。でも最近は考える。本当に折るべきなのかと。折るか、折らないかは使う革によっても決まる。折った方が良い革、切りっぱなしが感じが出る革、そういうことは確実にある。それと履く人のシーンによって決まる。どんなときに履くのか。注文を受けたときに交わした会話やオーナーさんの暮らしのスタイルのことを思い出すとどうしたらベストなのか答えが出る。折り込みのことだけでなく、糸の番手やミシンのピッチもそういうことに左右されるのだ。

会社で毎日クツの絵ばかり描いていた頃のわたしにはそういうことが何もわかっていなかったなと思う。クツの外見のカタチのことばかり追いかけていた。大事なことを何もわかっていなかった。だから在職中にはひとつも仕事らしい仕事はできなかった。では、今はできているのかと問われればやっぱり自信はないのだけど。でもわかっていることはある。

今、つくるのはカジュアルとフォーマルの間のクツ。
そういう使い方をされるためのクツを作っている。
またもやわかりにくい話でスミマセン。
今日おしでも折り込み関係の話してます。