こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

ミーナの行進

小川洋子さんの「ミーナの行進」を読む。家庭の事情で芦屋にある親戚の家に預けられることになった朋子。預けられたのは清涼飲料の会社社長の裕福な家庭。そこでの交流が描かれている。

物語の導入部でわたしは、登場人物の関係や背景が上手く掴めず、グズグズと読み進める事ができないことがよくある。この本もそうで、せっかく楽しみにして読み始めたのに先へちっとも進めないまま数日を過ごしていた。ドイツ人のおばあさんやコビトカバのポチ子とかちょっとありえない設定だったせいかな?だけど途中から手首を掴まれ、ぐいっと引っ張られたかのように物語の中にひき込まれた。そして一気に読み終えた。
この本を読んで子供の頃から大切にしている宝物、思い出にすぐ繋がるようなそんなものが自分にあるだろうかと考えた。幼稚園の頃に夢中で拾ったきれいな石、そんなものはとっくの昔に無くなっている。引越しを繰り返すうちに大抵もものは処分してしまった。就職で上京したときにほとんど全てを手放した。新しい生活を共にするのに持ってきたのは小さなちゃぶ台とブルーのタオルケットとバドミントンのラケット。ちゃぶ台は前回の引越しのときに処分した。ラケットも今度新調したら処分してしまうかもしれない。
ミーナからもらったマッチ箱。そんな思い出の小さな品物が欲しくなってしまった。

挿画もすごくいいのでおススメです。