こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

サウスバウンド

奥田英朗の「サウスバウンド」を読む。
面白い小説です!ゼッタイ!
主人公は小6の次郎。戦後すぐくらいの子供たちの小説は好んで読む傾向にあるこびとくであるが、この次郎くんは平成の子。現代の話なのである。それなのにとってもおもしろいのがスゴイと思った。
元過激派の「税金なんか払わない、無理して学校に行く必要などない!」という働かないちょっと迷惑な父のキャラがすごい。お母さんも迷惑そうにしてるし、姉は父親と口もきかない感じ。でも物語の後半で母も姉も父のファンだったのだ・・・となる。激しい性格の父に対し、次郎はフツーの小学生。でも「全く子供は不便だ」なんて大人びてもいる。小6ってそんなに子供ではないのだね。
東京の中野ですったもんだあったあと、物語の後半は家族で西表島に移住することになる。八重山の人たちのユイマールがいい。ユイマールというのは互いに助け合って生きて行く昔からの慣習のこと。私有財産という考え方をしないので何でも分け合うのである。インディアンにも私有財産の概念がないから「アリガトウ」という言葉がないってきいたことがあるけど似たようなものかしら。
学校は生徒たったの7人。週一で放課後に行なわれる「夕読み」がステキ!放送室からマイクを通じて本を朗読するのだ。近所の人たちは自宅の窓を開け放って生徒たちの声に耳を傾けるのだ。都会でこれをやればすぐさま「騒音!」となるのだろうけど。宮崎に住む友人が「こっちではヨミゴエっていうのがあるんだよー」と言っていて何のことだろうと思ったら、本の朗読のことで毎日宿題で親が朗読をきいてやるのだという。南に行けば行くほど「音」が大切にされるのかな?

「サウスバウンド」というタイトルからはこの小説のオモシロさが全く伝わってこないのが残念なのだけど、ぜひ夏休みにおすすめしたい一冊です。
これ、小学校高学年には読むの無理なのかなー?現役小学生にもおすすめしたいっス!

ところで今日は甲子園の開会式。TVで観ながらこの記事を書いていたら、ちょうど郷里石川代表の金沢高校が入場行進。全員で打ち合わせしたのだろうけど白い歯をみせての笑顔での行進。好感度バツグンでした。今年は訳あって県予選のときから石川大会に注目していたので金沢高校をしっかり応援したいと思います。