こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

フィンガーボウルの話のつづき

吉田篤弘著「フィンガーボウルの話のつづき」という不思議な短編集を読んだ。この本を選んだ理由はタイトルが不思議だったのと装幀も装画も筆者自身だったから。というのもつい先日、イラストレーターの友人と本作りの分業について話をしたばかりだったから。絵を描く人と装幀をやる人は普通は別だというのだ。(和田誠さんとか大御所は除いて)
そんなんで欲求不満にならないの?というのが素朴な疑問。(←なんでも自分でやりたがるタイプのこびとく)
それはさておき本の話。ビートルズホワイトアルバムをカギにつながってゆくこの短編集は実は完読できなかった。全部で16個の話があるのだけど、パラパラと読みとばしてしまった話も多い。だからといってつまらない本だったかというと決してそうではないのだから不思議。
わたしがいいなーと思ったのは「キリントン先生」と「ピザを水平に持って帰った話」。
この本はすでに図書館に返してしまったのでうろ覚えなのだけどキリントン先生は有名な音楽家。その先生の階下(もしかしたら上の階だったかも)に住んでいた「僕」がよくかけていたレコード「ビートルズホワイトアルバム」があとになって、キリントン先生の人生の思い出の曲になっていたと知るというもの。他の部屋から聞こえてくるレコードの音なんていうものは一歩間違えば「騒音」といわれかねないのだけど、ときとしてそんな音が心安らぐものとなることもあるのだということ。


TVでチラッと観ただけの「ハドソン靴店」を初めて訪ねたとき、場所も電話番号もわからなくてただ横浜反町の商店街の中というそれだけの情報で探し歩いていたわたし。想像していたより商店街は長く続いていて、それらしき靴屋さんは見当たらなくてあきらめて引き返そうと思ったそのときにきこえてきたトントンという金槌の音。あの音がなかったらそのまま引き返し、底付けの技術を教わることもなかったかもしれない。そうだとしたら今頃わたしは靴を作ってはいなかったかもしれないナ。
金槌の音に導かれて靴屋の世界へようこそ。という感じ?今日おしでもそんな音の話題を。

梅雨明けももうすぐ。
シコイワシをやっつけた。
これ¥88だった。安〜っ!