こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

オーロラシューズ

自分で靴をつくるようになって、お店で靴を買うということがなくなった。それは自分でつくれるからという理由だけではなく、履いてみたいと思うものがほとんどないからなのだった。
そんな中、いいナと思った靴がある。それがオーロラシューズなのだ。鎌倉に越してきたばかりの頃、葉山のとあるお店で出会った。手にとったわたしにお店の人が『それはアメリカの小さな工場で作られているんですよ。』と教えてくれた。その靴とそのお店のことがずっと気になっていて、というか気に入ってしまったので自分で作ったサボを持って原付きバイクで再びお店を訪れ、『置いて下さい』と直談判しに行ってしまった。そのお店はカタログ通販をやっており、想像していたよりずっと幅広くご商売されていてキチンと数を作れないものは扱えないとお断わりされた。まだまだ甘い考えだった20代のこびとくでした。そんなほろ苦い思い出とともにあるオーロラシューズ
そのオーロラシューズの工場のことが「クウネル」に載っていた。
オーロラ村という村で作られているからオーロラシューズという名前だということをこの記事で知った。たった11人で、一ヶ月600足までというペースを守っているそうだ。(クウネルなんかで紹介しちゃったらダメじゃないかー)
靴っていうと工程がフクザツで、パーツがたくさんあって、様々な材料を使い、とーっても大変!という話にすぐなってしまうが、ここに載っている写真をみる限りでは、パーツは少なくごくシンプル。デザインも4種類だけの展開で増やす予定は全くない様子。オーナーの女性は『私は私のペースを守りたい。靴で有名になろうなんて野心も全然ないし、仕事と同じくらい日々の暮らしも大切』と語っている。

同感です。こんな風に作られている靴だからこそ、みんなに愛されているのだと思う。ふとした折りに、(鎌倉の交差点を渡るときなんかに)この靴を履いた人に出会うことがある。その確率はかなり高い。
つくり手の人生を楽しむ気分が折り込まれているものは使う人にとっても気分がいいものなのだとそう思う。「売るため」のものづくりであったとしてもこういういいカタチはあるのだと教えられた。

クウネル、初めて買ったよー。オーロラシューズのことそっと見守って欲しいなぁ。