こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

手直し

以前にも話題に出したこともあるケアシューズ、リハビリシューズとも呼ばれているらしい。その靴のしくみに感心したのだが(こうやってつま先の方まで大きく開いたりするし)履く人にとっては不都合な点もあるらしく手直しを依頼された。
あらためて手にとってよくみると気付く点がいくつかあった。大雑把に言えば、いろんな人のいろんな障害を幅広くカバーできるようにうま〜く作られてはいるが実際にそれを履くその人一個人にとってはどうなの?ということである。
まず幅のことである。この靴は4Eだった。ケアシューズのカタログを見ても5Eとか7Eとかというものが目立つ。圧迫することのないように(むくんでいる人も多いだろうし)、誰でもラクに履けるようにとの配慮からとは思うのだけど、病院で見かけた人は概ね、筋肉の落ちた細い足に履いてらしたように思う。その大き過ぎる幅を抑えるために甲ベルトが付けられている。太いゴムの左右両端にマジックテープが付いていて、右ききでも左ききでも止められるようになっている。なかなかナイスな構造なのである。しかし、このゴムが曲者だった。ゴムは伸縮自在なのでどんな足幅の人にでも対応できると思いがちだが、ゴムであるために歩くと伸びてしまい、押さえている意味がなくなってしまうのだ。 履く人自身にとっては長さが自在にできることが重要なのではなく、固定することが大事なのに。
甲ベルトは足をしっかり固定しなくてはいけないのだ。
今回の依頼はそういう訳でもっと太いベルトでしっかり押さえたいということだった。歩いていて心細くなるんだそうだ。非常に着脱のしやすい靴ではあるのだけど・・・。

で、革でベルトを作って取り付けました。
右からも左からも止められる構造はそのままに。
使うひとそれぞれの都合にあわせるということを考えさせられる仕事でした。もうひとつの手直しは今日おしでどうぞ。