こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

体で覚えろ

病み上がりですがダシを縫っています・・・。

以前、銀座での靴のグループ展に参加したときのこと。まるで機械で縫ったようにきれいなダシ縫いのステッチだったAさん。よくよくきいてみるとルレットのような道具で縫うところに印をつけてから縫っているとのことだった。そうすれば一定のピッチで縫えるのだ。なるほどそれは合理的。そういうのが英国式(?)なのかもしれない。
ニッポンの職人さんたちは印を付けたり、物差で測ったりということをあまりしない。
体で覚えろというスタンスなのだ。
いちいち測るな!と怒鳴られる。そんな感じ。
わたしも底付けは弟子入りというカタチで教わったのでそんなことメモするな!とノートをとったりすることは禁止。(というほど厳しかった訳ではないが)何ミリですか?とかきくと答えてはもらえなかった。自分で考えろってこと。
こういう昔ながらの遠回りの修行ってどうなんだろう?と思ったときもあったけれど、こういうやり方にも良さがあると思う。多分、縫うところに印をつけてその通りに縫えば、きっとはじめてでも上手く縫えるのだろう。だけど最初から上手く縫えるなんてつまらないと思いません?
時とともに自然と上手くなってゆく楽しみってあると思う。時間をかけて苦労しながら一段ずつ階段を登るように。
綺麗で完璧に仕上げた靴はそれは素晴らしいけれど、成長過程にある靴も魅力的に思う。
分業にせず、全ての工程をひとりでやるというのはそういうことなのではないのかな。

とヘタクソな自分を励ましてみたりしてます・・・。2006年4月のこびとくはこんなところ。