こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

旅をする靴

10年程前にクツクツ通信で『仕事の童話集(原題は『旅する仕事職人』)』というポーランドの児童書を紹介した。ガラス屋、仕立て屋、家具職人など14の仕事職人にまつわる物語集である。その中の靴職人の物語を紹介したのでもしかしたら覚えている人もいらっしゃるかな?物語の最後に旅人に向かって靴屋さんはこんなことを言う。

「私はここで靴屋をしています。みんなのために靴を作り、自分は家に座ったままという生活です。でも今まで私が作ってあげた人たちはみんな町の中を行ったり来たりしているだけで誰も遠くへ行こうとはしないのです。ここにあるのは朝も夜も縫い続けた靴です。
さあ、これを履いてそして世界中を歩いて下さい。何もかも見て来て下さい。そして私に話してください。この椅子に腰掛けて待っていますから。だって私は靴屋なんです。靴屋というものはみんなのために靴を作り、自分は家に座っている、そういう仕事なんですから・・・。」



こびとくのところを旅立った靴はそれぞれ結構、旅をしているようだ。
昨日靴を受け取りにいらしたお客さまは先日スペインを旅して来られたそうだ。「まだスペインの砂がついている」という靴を履いて来てくださった。(もちろんこびとく製です)お昼ごはんをご一緒しながらスペイン旅行のお話をうかがう。わたしにとっては未知の国のお話はどきどきワクワクすることだらけ。楽しいひとときだった。
「仕事の童話集」を読んだときは靴屋って何か暗いなぁ〜、でもその通りだなぁと思った。だけどわたしはずっと座ったままなんてイヤだ、自分が旅するゾ!なんてことも思った。
でも昨日、旅の話をきいていてこういうのも悪くないなぁと思った。
わたしの知らないところで作った靴はどんどん旅をする。そして帰ってきたら見たこと、体験したことを話してもらう。そのお話をきくだけでわたしはいろんなところを旅することができるだろう。

あぁ、なんて靴屋的生活!


昨日いただいたお土産デス。
スペインの新聞に包まれた中にはオリーブオイル石鹸!
自然素材のものを欲しいなと思っていたとこだったので
とってもウレシイのです。グラシアス!