こびとく日誌

クツをつくりながら考えたこと。晴耕雨読な日々のこと。

においにご注意!

個性的な色あわせのベビーシューズが出来上がった。

もしかしたら話題にしたことがあるかもしれないけどベビーシューズには苦い思い出がある。ある時期、ベビーシューズの注文がたくさん重なっていたことがあった。作っては送り、作っては送りということを大急ぎで繰り返していた。そんなときお客さまからあることを指摘されたのだ。
それは、出産祝いにお友達にプレゼントしたときにベビーシューズの袋を開けた途端にシンナーのニオイがしてとてもイヤだったということ。赤ちゃんのためのものなのにシンナーのニオイがして気分を害されてしまったのだ。
このことをきいて本当に真っ青になってしまった。なんと取り返しのつかないことをしてしまったのだろう。急いでいたので接着剤のニオイが飛ばないうちに袋に詰めて発送してしまっていたのだ。お祝いの贈り物を手渡す幸せな瞬間をシンナー臭で台無ししてしまったのだ。
以来、出来上がったら充分時間をおいてから袋詰めするようにしている。
そしてあのとき指摘してくださったお客さまにはとても感謝しています。指摘してもらっていなければ今でも同じ過ちを繰り返していたかもしれない。

もうひとつ、今度はうれしい方のニオイの思い出。以前にご注文いただいたお客さまに久しぶりに会ったときに「その後クツの調子はいかがですか?」と訊ねたら「実はまだ履いていないのです」という答えが帰ってきた。お渡ししてから随分日が経っていたので何か不都合でもあったのかと思って訊ねると「箱を開けた瞬間に革のいい香りがしたのでそのまままた蓋をして、今年おろすのはやめにしました」とのこと。もうしばらく革の匂いをとっておきたいと考えられたようなのだ。

同じにおいでも「匂い」と「臭い」では随分違う。充分気をつけないといけないのである。

昨日は海岸のボードウォークの上でひとりボーッとした
心なしかクツものんびりした様子にみえる
なぁんにもしないという贅沢ね